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糖尿病を改善・予防する食事・運動のポイント|内科専門医師が配信 医療機関で糖尿病と診断された方や、検査で「糖尿病予備群」あるいは「糖尿病の境界型」と判定された方へ向けて、糖尿病を改善する生活習慣について紹介します。 糖尿病は初期段階での自覚症状がほとんどないため、早期に発見、対処することが大切です。これから始める糖尿病治療や糖尿病予防のために、ぜひ参考にしてください。 糖尿病の95%は食事や運動などの生活習慣が原因! 糖尿病は慢性的に血糖値が高くなる病気です。この状態が長く続くと、体内の臓器に悪影響をおよぼし、さまざまな障害が発生します。しかし初期段階では自覚症状はほとんど見られません。 糖尿病は、本人が気づかないうちに病気が進行してしまうおそれがある、日ごろから注意しておきたい病気です。糖尿病は悪化するとさまざまな合併症を引き起こします。 特に「3大合併症」と呼ばれる糖尿病網膜症・糖尿病腎症・糖尿病神経障害は、日常生活に支障が出る後遺症の危険性が知られています。さらに脳卒中や心筋梗塞といった、命にかかわる病気を併発するリスクもあるのです。 そんな糖尿病は「1型糖尿病」「2型糖尿病」「その他病気や遺伝子異常が原因の糖尿病」「妊娠糖尿病」という4種類に大別されます。 こちらも併せてご参照ください なかでも、国内の糖尿病患者の95%は2型糖尿病であるといわれています。2型糖尿病の主な原因として挙げられるのは、食生活や運動不足などの生活習慣です。 こちらも併せてご参照ください 糖尿病の原因となる食事を紹介|メニュー見直しで病気を予防 ライフスタイルの見直しを検討しなければいけません。ここからは、糖尿病の4つの種類について、それぞれの特徴を紹介していきます。 1型糖尿病 1型糖尿病は比較的年齢の若い方の発症が多い糖尿病です。1型糖尿病は、すい臓でインスリンを作っている「β細胞」が何らかの原因によって破壊され、体内のインスリンが不足することで起こります。β細胞が破壊されてしまう原因について詳しいことは明らかになっていません。 1型糖尿病の治療では、インスリンを補うべくインスリン注射を行います。病気は進行性であり、悪化すると体内でインスリンがほとんど分泌されない状態になるため、インスリン注射は必須となります。 2型糖尿病 2型糖尿病とは、インスリンが分泌される量が不足する「インスリン分泌不全」や、インスリンの働きが悪くなる「インスリン抵抗性」によって血糖値が高くなる症状です。 これらは主に遺伝的要因や生活習慣などの環境による要因から引き起こされます。日本国内の糖尿病患者のうち95%の方が2型糖尿病であるといわれるほど、多くの方が発症しています。 2型糖尿病は生活習慣を改善することで糖尿病を発症するリスクや進行を抑えられる可能性があります。 その他、病気や遺伝子異常が原因の糖尿病 1型糖尿病や2型糖尿病のほかに、がんなどのほかの病気や遺伝子異常などが原因となって、糖尿病を発症することがあります。場合によっては薬剤が原因となるケースもあるようです。 妊娠糖尿病 妊娠糖尿病は、厳密には糖尿病ではなく、妊娠中の糖代謝異常のことをいいます。妊娠によって初めて発症した糖代謝異常のことを指し、妊娠前から発症していた糖尿病は妊娠糖尿病には含めません。 妊娠糖尿病では、母親に妊娠高血圧症候群・網膜症・腎症などの合併症や流産が起こるおそれがあるほか、胎内の子供にも形態異常・低血糖・多血症などのリスクがあります。 母親には妊娠中の血糖値を管理するための食事療法とともに、インスリン注射によって血糖値を下げる治療が行われます。 糖尿病を改善するには 糖尿病は完治するのが難しいといわれますが、治療を継続して適正な血糖値を保つことができれば、健康的な生活を送れます。 血糖値をコントロールするうえで重要なのは、これまでの生活習慣を見直し、改善することです。 特に2型糖尿病では生活習慣が原因となっていることが多く、基本的にはライフスタイルの改善が治療の中心となります。それでも血糖値をコントロールできなかった場合は、併行して薬物療法を取り入れていきます。 糖尿病治療におけるライフスタイルの改善には、主に「運動療法」と「食事療法」が行われます。 運動療法とは、酸素を使って体内の糖や脂肪を消費する有酸素運動を継続することで血糖値を下げやすい体を作ることです。 食事療法とは、毎日の食生活で摂取するカロリーを適正な範囲に制限するとともに、栄養バランスを整えることによって、血糖値を下げる食習慣を作ることです。 薬物療法が開始されてからも、糖尿病治療の中心となるのは運動療法と食事療法となります。血糖値をコントロールするために継続して行いましょう。 運動療法のポイント 有酸素運動により酸素の消費が促されると、血糖値を下げる効果が期待されます。こちらでは、運動療法のポイントを紹介していきます。 運動の種類・運動の強度 代表的な運動療法には有酸素運動が挙げられます。具体的には、ウォーキング・ジョギング・サイクリング・水泳など、酸素の消費を高める運動のことです。 血糖値を下げる効果が期待されるため、血糖コントロールのために必ず取り入れましょう。 運動療法の強度は、運動の種類によって異なります。強度の低い運動の一例は、ウォーキング・ラジオ体操・平地でのサイクリングなどです。 強度が中程度の運動としては、ジョギング・坂道でのサイクリング・階段の上り下りが挙げられます。強度の高い運動にはバスケットボールや水泳などが該当します。 運動療法を継続するには、無理なく楽しく行える運動を選ぶことがポイントです。また、ハードな運動はかえって体に負担をかけてしまう可能性もあります。 運動後に脈拍が100~110回/分に達するような運動を目安として考えてください。 1回の運動量・運動の頻度 運動療法は継続することで効果が発揮されます。運動の頻度として3日に1回または週に2回のペースを保つとともに、運動量は1回あたり30~60分を目安に時間を確保しましょう。 運動の注意点 運動療法は体に負担をかけない範囲で行いましょう。また、網膜症や心臓病などの病気がある方は、運動を避けたほうがよい場合もあります。 糖尿病治療のために運動療法を行うときは、医師の指示のもとで体を動かすようにしましょう。 食事療法のポイント 食事療法では、食事から過剰な糖分を摂取する習慣を正すことで血糖コントロールを行います。また、食習慣を見直しは食べ過ぎによる肥満の予防にもつながります。 こちらでは、食事療法のポイントを紹介していきます。 一日の適正エネルギー量を摂取する 食事療法では、摂取エネルギーの量を適正範囲に制限することから始めます。まずは、ご自身が1日に必要とする総エネルギー量を知り、それ以上のエネルギーを摂取しないよう改善していきましょう。 適正エネルギー量は、身長から割り出される標準体重と身体活動量から算出します。医師から指示された適正なエネルギー量を守った食生活にしていきましょう。 栄養バランスの良い食事を食べる 食事療法では、摂取エネルギーを抑えながらも、栄養バランスの良い食事を取ることが大切です。あらゆる食品はタンパク質・脂質・ビタミン・ミネラルに分類されます。 これらがバランス良く含まれるような献立とし、栄養に偏りのない食習慣を継続しましょう。 1日3食、規則正しい時間に取る 朝食・昼食・夕食で均等にエネルギーを摂取することも健康的な血糖値を保つためのポイントです。また、毎日の食事を規則正しく取ることも重要です。できるだけ毎日同じ時間帯に食事をしましょう。 糖質に注意する 血糖値を高める原因となる栄養素は糖質です。米や小麦などの穀類は糖質が多いため、食べ過ぎに注意してください。意識して糖質を控えながら、満腹感を高めることがポイントです。 よく噛んでゆっくり食べる 食事療法では食べ方にも工夫が必要です。食事の際は早食いを避け、よく噛んで食べることが大切です。ゆっくりと食べることにより、糖質の急激な吸収を抑えやすくなります。 特に、野菜・きのこ・海藻・こんにゃくといった食物繊維が豊富な食材は、咀嚼回数が増えるため満腹感を得られます。 その他注意したい生活習慣 さらに見直すべき生活習慣として「喫煙」が挙げられます。タバコを1日に20本以上吸う方は糖尿病を発症するリスクが高まるといわれています。 タバコを吸わない方と比較したとき、男性で1.4倍、女性では3.0倍、糖尿病を発症しやすくなるという調査結果もあるほどです。 さらに「飲酒」も見直すべき生活習慣です。アルコールを1日に1合以上飲んでいる方は、飲まない方と比較したときに、男性で1.3倍も糖尿病を発症しやすくなるという調査結果があります。 また、高血圧症の方は、そうでない方と比べて男性で1.3倍、女性で1.8倍、糖尿病を併発しやすいといわれていますので、こちらも注意が必要です。 「糖尿病予備群」あるいは「糖尿病の境界型」と言われたら 糖尿病の検査をしたとき、「境界型」と判定が出ることがあります。境界型とは、糖尿病と診断されたわけではないものの、やや血糖値が高い状態にあることから、将来的に糖尿病が心配される「糖尿病予備軍」のことです。 特に2型糖尿病は、徐々に血糖値が高くなり進行していく病気であるため、境界型の判定が出た時期から食事療法や運動療法を始めましょう。 糖尿病の早期発見には検査を受けること 糖尿病は悪化するまでほとんど自覚症状のない病気です。糖尿病予備軍である境界型の段階でも目立った自覚症状がないことから、治療の必要がないと考える方も少なくありません。 しかし体内ではすでに血糖値が高くなり、大きな変化が起こっているのです。自覚症状がなくても生活習慣の見直しは不可欠です。 糖尿病にできるだけ早く気付くには、医療機関で詳しい検査を受けることです。 健康診断など簡易的な検査では判定されない場合でも、食後に急激に血糖値が高まり下がりにくくなる「食後高血糖」のおそれもあります。 これらを放置すると徐々に血糖値が高まり、糖尿病につながりかねません。早期発見と早期対処で糖尿病を予防しましょう。 まとめ・糖尿病を改善・予防する食事・運動のポイント 糖尿病と診断された方や、検査で「糖尿病予備群」あるいは「糖尿病の境界型」と判定された方は、運動療法と食事療法を中心として、糖尿病の改善および予防につとめましょう。 国内の糖尿病患者のうち、大部分の方は2型糖尿病に分類されます。2型糖尿病は、生活習慣が要因となるため、改善にむけたライフスタイルの見直しが欠かせません。 また、運動不足や食べ過ぎ、過剰な喫煙や飲酒などの生活習慣は、糖尿病のリスクを高めます。まだ糖尿病と診断されていない境界型の方も、今のうちから生活習慣を見直してみてください。 監修:院長 坂本貞範
最終更新日:2022.10.31 -
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糖尿病でよく聞くインスリンとは?治療方法について解説|内科専門医師が配信 「糖尿病は血液中の糖の割合(血糖値)が上昇する病気である」ということはご存知の方も多いと思います。また、「糖尿病はインスリンが関係する病気である」ということも耳にしたことがあるのではないでしょうか。 しかし「インスリンとはどのような物質なのか」や「インスリンはどのように糖尿病を引き起こすのか」といった質問にしっかりと答えられる人は、そう多くはないと思います。 インスリンの知識が身につくと糖尿病の発症メカニズムがわかり、予防や対策や治療の意義が理解できるようになります。ぜひこの機会に、インスリンと糖尿病の関係をしっかり身につけてください。ここではインスリン注射についても解説します。 糖尿病はインスリンが十分に働かない状態! 糖尿病は、胃の裏側にある膵臓(すい臓)という臓器から血液中に分泌されるインスリンが不足したり、インスリンが機能しないなどの原因で発症する病気です。 糖尿病には1型糖尿病と2型糖尿病があります。 1型糖尿病は生まれつきインスリンが分泌されなかったり、少量しか分泌されない病気です。 2型糖尿病は生活習慣の悪化などによって膵臓が弱り、インスリンの分泌に支障が出たり、インスリンが働かなかったりする病気です。 次に、インスリンの働きについてみてみましょう。 インスリンとは インスリンはホルモンの一種です。ホルモンとは臓器の働きをコントロールする物質の総称です。膵臓には「ランゲルハンス島」という細胞群のなかの「β細胞」という細胞がインスリンをつくります。インスリンは血中の糖の量を下げることができる唯一の物質です。 血糖値とインスリンの関係とは 糖尿病は血中の糖の割合(血糖値)が異常に高くなる病気ですが、糖は細胞のエネルギー源なので必要不可欠なものです。「血中に糖があること」は正常な状態ですが、「血中の糖が多すぎる」と支障が出てしまうのです。 細胞はインスリンの力を借りることで血中から糖を取り込みます。したがってインスリンが足りていて、インスリンがしっかり働いていると血中の糖が消費されるので、血糖値は一定に保たれます。 インスリンが十分に働かない状態とは 糖尿病を引き起こすインスリンの異常には、インスリンが不足する場合とインスリンが働かない場合の2パターンがあります。 インスリン分泌不足 膵臓の機能が低下するとインスリンがつくられなくなります。この状態を「インスリン分泌不足」といい、血中のインスリン量が減って糖尿病を引き起こします。 インスリン抵抗性 膵臓がインスリンを正常につくっていても、運動不足や食べすぎなど生活習慣が乱れると、細胞のインスリンに対する反応が悪くなってしまいます。この状態で血糖値が上昇して糖尿病になることを「インスリン抵抗性による糖尿病」といいます。 インスリン治療の方法 糖尿病の治療には、インスリン治療が有効であるとされています。「インスリン治療」という場合、国内では注射を使ってインスリン製剤を投与することを意味します。経口薬とインスリン注射を使った治療法は「糖尿病の薬物療法」と表現します。 また、1型糖尿病の治療は基本的にインスリン治療(インスリン注射)を行います。経口薬の効果が出ず、その後インスリン注射に移行するのは、2型糖尿病の患者の方になります。 インスリン治療とは 注射薬を使うインスリン治療(以下、インスリン注射)は、体内でつくられるインスリンと同じインスリンを、注射器を使って体内に投与する治療法です。 この治療法の対象になるのは次のような状態の方です。 ・1型糖尿病の方 ・体内のインスリン分泌だけでは十分ではない方(2型含む、以下同) ・経口薬だけでは血糖のコントロールが難しい方 ・痩せ型で栄養状態が悪い方 ・糖尿病以外の病気の治療で、血糖値が上がる薬を飲んでいる方 1型糖尿病の方はインスリン注射を使った治療が必要になります。 2型糖尿病の方は、食事療法や適切な運動を行いながら最初は経口薬による治療を進めますが、状態や条件によってインスリン注射に移行します。 インスリン注射の仕方 インスリン注射は場合によって1日3食の毎食前に投与する必要がありますが、その都度医療機関を受診することは現実的ではありません。 そこで患者の方が自分で注射器を握り、ご自身の身体に注射針を刺す「自己注射」という手法が採用されます。 ただ自分で注射を打つといっても、インスリン注射の注射器は特殊な形状と機能を持っているので簡単に実施できます。例えば、インスリン注射の注射器には最初から薬剤(インスリン)が入っていますので、患者の方が自分で薬を容器から注射器に移す必要はありません。 また薬の投与量を調整できるダイヤルがあるので、それを設定すれば適量を投与できます。さらに注射針は極細かつ短いので、皮膚に刺してもほとんど痛みはありません。 インスリン注射を打つ場所は太ももや腹部などで、投与する時間とあわせ医師が指定します。医師の指示どおり投与しないとインスリンが効きすぎたり効かなかったりします。 インスリン注射の自己注射を開始する際は、事前に医師の指導のもと何度か練習しますので、小さな子供や高齢者でも問題なく打てるようになります。 インスリン注射の種類 インスリン注射は、薬の作用の仕方や効果の持続時間によって主に次の6種類に分かれています。 超速効型インスリン製剤 投与後10~20分で効果が出るので、食事の直前に投与することができます。患者の方は「食事とインスリン注射」をセットで行うため、食事時間が不規則になってしまった際もわずらわしさを軽減できます。 効果は3~5時間ほどの持続と短いので低血糖のリスクを下げることができます。超速効型インスリン製剤は毎食前に投与します。 速効型インスリン製剤 効果が出るまで30分~1時間ほどかかります。したがって食事の30分前に自己注射する必要があります。効果は5~8時間ほど持続します。速効型インスリン製剤も毎食前に投与します。 中間型インスリン製剤 効果が出るまで1~3時間かかります。効果の持続時間は18~24時間と長いので、1日1回、朝食前のみの投与で済む患者の方もいます。1日2回必要な場合もあります。 混合型インスリン製剤 超速効や速効型、中間型を混ぜ合わせたものです。効果の持続時間は中間型インスリン製剤と、ほぼ同じなので1日1回または1日2回打つことになります。 持効型溶解インスリン製剤 注射から効果までの時間は1~2時間で効果は1日中持続します。ほとんどの場合、1日1回投与するだけで済みます。 混合溶解インスリン製剤 超速効型と持効型溶解インスリン製剤を混ぜ合わせたものです。 医師は患者の方の状態やライフスタイルに応じてインスリン注射の種類を使いわけています。ライフスタイルのなかでは、食事のタイミングが重要視されます。仕事などで食事の時刻が定まらない場合は、注射のタイミングや量などを微調整する必要がありますので、医師と相談することになります。 インスリンに関するよくある質問 インスリン注射について患者の方が心配になりそうな内容とその回答を紹介します。 インスリン治療を始めると一生続く? 1型糖尿病の患者の方は、インスリン注射を継続する必要があります。しかし2型糖尿病の患者の方のなかには、一度インスリン注射を始めてもその後の経過次第で経口薬に戻せることがあります。 それは、インスリン注射によって膵臓が「休むこと」ができ、機能が回復することがあるためです。 インスリン治療を行うと太る? インスリン注射が体重増や肥満を引き起こすことはありません。ただし、インスリン注射を始めると血糖が順調に下がり空腹を感じやすくなるので、そのせいで過食をしてしまい太る患者の方がいます。 ほかにも低血糖の恐れや、ストレスから適切な量より多い食事が原因で太ることはあります。ですが、インスリン注射を始めても食事療法と運動療法を継続していれば体重を維持することは可能です。 インスリン注射は痛い? インスリン注射はほとんど痛くありません。それは極細で短い特殊な針を使っているからです。 注射する部位としては以下のようになっています。 ・おなか ・上腕部の外側 ・おしり ・太ももの外側 など インスリンに副作用はある? インスリン注射には低血糖という副作用があります。これはインスリンが効きすぎて血糖値が下がりすぎてしまう症状です。 低血糖は重症になると意識障害やけいれんを引き起こします。そのほかの症状には、冷や汗、動悸などがあります。しかし、低血糖を恐れて患者の方自身がインスリン注射を制限してしまうと、糖尿病の治療が滞ってしまいます。 患者の方は自己判断でインスリン注射を調整しないでください。 インスリン療法しているので食事療法や運動療法をしなくてもよい? インスリン注射を行っていても食事療法と運動療法は継続する必要があります。食事療法と運動療法はすべての糖尿病の患者の方とすべての糖尿病予備軍の方の治療のベースになります。 食事療法と運動療法を継続していないと、インスリン注射などそのほかの治療の効果が出にくくなってしまいます。 こちらも併せてご参照ください まとめ・糖尿病でよく聞くインスリンとは?治療方法について解説 インスリン注射は自己注射という特殊な治療法を必要とします。注射を打つことは医療行為なので、本来は医師や看護師しか行うことができません。 インスリン注射は、例外的に患者の方自身が注射針を打つことが許されているのです。したがって、本人による自己注射も、家族が本人の代わりにインスリン注射を打つ場合も、医師の指導管理が必要になります。(※) しかし、インスリン注射を必要以上に警戒する必要はありません。医師の指示内容は難しくありませんし、主治医とよく相談してインスリン治療を始めるようにしましょう。 ※参考「医事法制における自己注射に係る取扱いについて」 監修:院長 坂本貞範 糖尿病について詳しく知りたい方は、こちらもご覧ください。
最終更新日:2022.10.08 -
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- 変形性股関節症
関節リウマチ治療で効果を期待できる生物学的製剤の治療期間と費用 2003年に日本で認可された生物学的製剤による関節リウマチ治療は、従来の抗リウマチ薬よりも高い効果が期待できる治療方法です。そのため、関節リウマチで悩んでいる人のなかにも生物学的製剤に関心を持っている人も多いと思います。 そこで今回は、生物学的製剤の有効性とデメリットについて治療期間とその費用をご紹介します。 以下のような疑問にもお答えしてまいります。 ・どれくらいの期間続けるの? ・どれくらいの費用がかかるの? ・生物学的製剤をやめたら効果が無くなるの? 生物学的製剤を続ける期間 生物学的製剤を使用したリウマチの治療は高い効果が期待できるものの、どれくらいの期間、継続する必要があるのか知りたい人も多いでしょう。実は、いつまで継続するべきというのは、まだわかっていないというのが現状です。 そして、仮に生物学的製剤を使用していて症状が安定していたとしてもすぐに中止せずに少なくとも1年くらいは継続するべきと言われています。生物学的製剤による治療を受けて短期間で効果があったとしても自己判断で治療を止めるべきではありません。 関節リウマチ治療の生物学的製剤の使用期間は長くなるほど費用がかさむ 生物学的製剤によって関節リウマチ治療をおこなう場合、定期的に使用していくことになります。使用頻度は生物学的製剤の種類によって、2週間に1回、1ヶ月に1回、2カ月に1回などいろいろあります。 そこで、問題となってくるのが生物学的製剤の使用にかかる費用です。生物学的薬剤は従来の抗リウマチ薬より高い効果が期待できるものの、従来の抗リウマチ薬よりも高額です。 生物学的製剤の種類によっても価格は異なりますが、健康保険で3割負担となった場合でも毎月1万5千から3万円くらい必要です。そして、使用する期間が長くなればなるほど、費用の負担が大きくなるということになります。 生物学的製剤を止めると効果が無くなる? 生物学的製剤を使った関節リウマチ治療は、いつまでの期間までおこなうという明確な決まりがないので、基本的には長期間継続していくことを考えて治療を始める必要があります。 しかし、ある程度の期間生物学的製剤を使用して安定した状態が続いた人で使用を止めた人のなかには、1年経っても安定した状態を維持できた人もいるという実例も近年出てきています。 つまり、仮に生物学的製剤を使用し継続するのを止めたからといって絶対に悪化するというわけでもありません。 まとめ・関節リウマチ治療で効果を期待できる生物学的製剤の治療期間と費用 生物学的製剤による関節リウマチ治療の期間について紹介しました。生物学的製剤による治療は一般的に長期間継続することになりますし、費用も高額になるので、計画的に治療を受けるかどうかを判断する必要があります。 生物学的製剤による治療を検討している人は、そういった面も含めて、医師にしっかりと相談して計画を立てていきましょう。また、関節リウマチによる関節破壊の修復については、再生医療による治療も効果が期待できます。治療の選択肢の1つとして検討してみてはいかがでしょうか。 監修:リペアセルクリニック大阪院 ▼こちらも併せてご参照ください
最終更新日:2023.06.14 -
- 糖尿病
持効型インスリン治療とは|メリット・デメリットを解説!|内科専門医師が配信 糖尿病の治療法の1つに、インスリン製剤を自己注射する方法(以下、インスリン自己注射)があります。糖尿病の患者の方が自分で注射器を握ってインスリンを体内に投与します。 インスリン自己注射は患者の方の負担が大きいため、2型糖尿病の患者の方の場合、飲み薬(経口薬)の効果が出なくなってから移行します。ただし、医師によっては2型糖尿病であっても早めにインスリン自己注射をすすめることがあります。 また1型糖尿病の治療ではインスリン自己注射が必須になります。糖尿病の治療でインスリン自己注射が多用されるのは、血糖値のコントロールの精度が高まることが期待できるからです。 さらに、低血糖のリスクを抑えながら患者の方の負担を減らすことが期待できる「持効型溶解インスリン製剤」を使った「BOT(Basal Supported Oral Therapy)」という治療法が注目されています。 そのあたりについても本記事で詳しく解説します。 糖尿病治療にインスリンを使う理由 糖尿病は膵臓(すい臓)からインスリンが分泌されなくなったり、インスリンが機能しなくなったりすることで血糖値が高くなる病気です。血糖値が高くなると血管が壊れやすくなり、より重大な病気を引き起こします。 インスリン自己注射は、体外から注射によって直接体内にインスリンを投与する治療法です。 インスリン自己注射で使う薬剤にはいくつか種類があります。インスリンは効果が出るのが早い薬剤もありますし、効果がゆっくり出る薬剤もあります。医師は薬剤を使い分けることで、患者の方のライフスタイルに合わせて血糖値をコントロールします。 持効型溶解インスリンとはどのようなものか? インスリン自己注射で使われるインスリン製剤には、効果の出方の速さや効果の持続時間などによって、超速効型インスリン製剤や速効型インスリン製剤などの種類があります。持効型溶解インスリン製剤もそのうちの1つです。 持効型溶解インスリン製剤は「トレシーバ」「レベミル」「ランタス」といった商品名で販売されています。製薬メーカーによって商品名が異なります。 インスリン自己注射の目的は、基礎インスリンを補うためと追加インスリンを補うための2つあります。持効型溶解インスリン製剤は基礎インスリンを補う目的で使います。 「持効型」は効果が持続するという意味で、その名のとおり持効型溶解インスリン製剤の効果は24時間続きます。超速効型インスリン製剤は効果が3~5時間ほどしか持続しないので、持効型溶解インスリン製剤の効果の持続時間の長さが理解できると思います。 注射のタイミング 持効型溶解インスリン製剤は1日1回の自己注射で済みます。注射を打つタイミングは医師と相談して決めます。 どのような働き方をするか 持効型溶解インスリン製剤を自己注射で投与すると体内のインスリンが増えるので血糖値が下がります。インスリンは血中の糖が細胞に取り込まれるのを助けます。 効果が出るまでの時間 持効型溶解インスリン製剤は、血糖値を下げる効果が長く持続する代わりに効果が出始めるまで1~2時間ほどかかります。 ちなみに超速効型インスリン製剤は10~20分ほどで効果が現れます。 効果が持続する時 持効型溶解インスリン製剤はほぼ1日効果が持続します。 持効型溶解インスリンのメリット・デメリット 持効型溶解インスリン製剤を使うメリットとデメリットを紹介します。 メリット 持効型溶解インスリン製剤のメリットは次の4つがあります。 作用時間が長く、健康な人と変わらない生活を送ることができる 持続時間(作用時間)が長いので1日1回の自己注射で済みます。例えば、朝食前に自宅で自己注射すれば昼食前や夕食前に打つ必要がないので、いわゆる「普通の生活」に近い生活を送ることができます。 濃度のピークが少ないため夜間の低血糖を起こすリスクが低い 持効型溶解インスリン製剤は効果がゆっくり現れてゆっくり減っていくので、インスリンの血中濃度のピークが少ない、という特徴があります。 インスリン濃度が急激に上がって急激に下がると夜間の低血糖が懸念されますが、持効型溶解インスリン製剤はそのリスクが小さいといえます。 体重増加のリスクが低い 空腹は低血糖に差しかかるときに感じやすいです。持効型溶解インスリンを使うと血糖値濃度のピークが小さく一定に作用するので、低血糖に陥りづらく空腹を感じにくいので体重増加のリスクが低くなります。 1日1回だから打ち忘れが少ない 持効型溶解インスリン製剤は1日1回の自己注射で済むので、「打ち忘れ」のリスクを減らすことができます。 デメリット 持効型溶解インスリン製剤を使うデメリットは2つあります。 食後高血糖の改善効果は強くない 持効型溶解インスリン製剤は「基礎分泌」を補う薬で、食後に起きる急激な高血糖を改善する効果は強くありません。 食後の高血糖の改善には「追加分泌」を補う製剤が適しています。したがって患者の方の状態によっては持効型溶解インスリン製剤を使えないこともあります。 食事療法・運動療法がきちんとできていることが必要 どの薬を使うかに関わらず糖尿病の患者の方は食事療法と運動療法に取り組むことが求められます。 日本でも普及しているBOT 持効型溶解インスリン製剤の自己注射を使った治療法の1つにBOTがあります。これは自己注射が1回で済むので、働いている人や食事をする時刻が不規則になりがちな方に向いている治療法です。 インスリン治療は1日4回の自己注射が基本です。それと比べるとBOTは、1日1回の注射で済むので患者の方の負担が小さくなる可能性があります。 BOTとは BOTはいくつかあるインスリン治療のなかで比較的新しい方法の1つです。先ほど、インスリン自己注射をする目的は、基礎インスリンを補う目的と追加インスリンを補う目的の2つがあると紹介しました。 BOTは、自己注射は1日1回の持効型溶解インスリン製剤だけにして、食後の血糖値上昇対策には飲み薬を使います。 BOT以外の治療法の1つに「Basal-Bolus療法」があります。これは持効型溶解インスリン製剤を1日1回打って基礎インスリンを補い、さらに超速効型インスリン製剤を毎食前、1日3回打って追加インスリンを補う治療法です。つまり1日4回の自己注射が必要になります。 ほかの治療法より注射の回数が少なくて済むBOTはインスリン治療が初めての方にも始めやすい方法です。 日本でもBOTを行う人が増え始めている BOTでは自己注射の回数が1回なので、朝食前に行えば翌朝まで自己注射する必要はありません。手軽ですし、打ち忘れのリスクを減らすことができるので患者の方に喜ばれています。新しい治療法として積極的にBOTを患者の方にすすめる医師もいます。 インスリン自己注射には、インスリンの効果が出すぎて血糖が下がりすぎてしまい、低血糖を引き起こすリスクがあります。しかし、持効型のインスリンは効果が一定で長時間続くため、BOTは低血糖リスクが小さい治療法であるといわれています。 まとめ/持効型インスリン治療とは|メリット・デメリットを解説 インスリン自己注射は患者の方に負担のかかる治療法ですが、持効型溶解インスリン製剤を使ったBOTは、その負担を小さくできる可能性があります。 1型糖尿病の方にはインスリン治療が必要不可欠です。しかし、2型糖尿病で経口薬治療中の患者の方のなかには「インスリン自己注射は最終手段」と考え、自己注射の使用を遅らせたいと考える人もいます。 一方で自己注射は血糖値のコントロールがしやすくなるなどのメリットもあります。糖尿病治療は長期化すること多いため、医師とよく相談して効果と負担のバランスが取れた治療法を選ぶようにしてください。 監修:院長 坂本貞範 ▼糖尿病について詳しく知りたい方は、こちらもご覧ください。 糖尿病ってどんな病気?
最終更新日:2022.09.29 -
- 免疫細胞療法
ガンの発症するリスクにかかわる免疫力と、免疫を向上させる免疫細胞療法という方法 怖い病気の1つに「癌(がん)」がありますが、その発症リスクには「免疫力」が深く関わっていることをご存知でしょうか? 今回は、免疫力の低下と癌の発症リスクの関係について解説します。 免疫力が低下すると癌になりやすい理由 免疫力の低下と癌の発症リスクの関係について解説する前に、まず「そもそも癌ってどんな病気?」ということから解説したいと思います。 「癌」とは、簡単に言えば「細胞の病気」であり、癌化した細胞は通常の細胞とは異なる特徴を持ちます。 ・異常に分裂を繰り返す ・他の細胞の栄養を横取りする ・正常な臓器を破壊する ・血液から全身に転移する可能性がある 厚生労働省の発表によると、死亡した人の死亡原因の中で最も多いのが癌によるものだとされています。 癌という病気は細胞に異常が発生して「癌細胞」ができるところからスタートし、これが増殖して大きくなることで命に関わる状況になるのが一般的です。 細胞が癌細胞化する原因はさまざまですが、例えば以下の原因により癌のリスクを高めると言われています。 ・喫煙 ・過度な飲酒 ・高カロリー高脂肪な食事 ・運動不足 ・肥満 ・睡眠不足 ・ストレス しかし、上記の要因がなくても毎日のように数多くの細胞が癌細胞化しています。それでも癌にならずに済んでいるのは、体の免疫機能が深く関わっているためです。 免疫は、体内外で発生した異常な存在に対して攻撃をしかけ、排除する役割があります。 癌細胞も攻撃対象の1つであり、日常的に発生する癌細胞も免疫により排除されているのです。 しかし、免疫機能が低下し、癌細胞の増殖スピードに追い付けなくなると次第に癌細胞は勢力を拡大し、最終的に手遅れになってしまいます。 癌や感染症のリスクを下げる免疫細胞療法 免疫力が低下すると癌のリスクが高まるだけでなく、風邪や感染症の発症リスクが高まるというデメリットもあります。 日ごろから風邪や感染症にかかりやすいことに悩んでいる人は、免疫力が低下している可能性があり、癌のリスクも高まっているかもしれません。 そんな人におすすめなのが「免疫細胞療法」という治療法です。 この治療法は患者さんの血液から免疫細胞を培養し、体内に戻すことで免疫力を高めるというものです。 免疫力が高まることで癌のリスクを下げられる可能性があるだけでなく、風邪や各種感染症の発症リスクも下げられる可能性があります。 まとめ・ガンの発症するリスクにかかわる免疫力と、免疫を向上させる免疫細胞療法という方法 癌は死亡患者数の多い病気の1つであり、免疫力が低下することでその発症リスクが高まります。 免疫力を高める方法は数多く存在しますが、より積極的に免疫力を高めようと思うのであれ免疫細胞療法を検討してみてはいかがでしょうか。 監修:リペアセルクリニック大阪院 こちらもご参照ください
最終更新日:2023.12.28 -
- 股関節
- 変形性股関節症
- 再生治療
関節リウマチ(股関節)による変形で人工関節にすべきタイミング 股関節は、自分の体重を支えながら、歩く、立つ、しゃがむなどいろいろな動作を可能にする大切な役割を果たしています。しかし、リウマチで股関節変形になると、こうした役割を果たすことができなくなったり、痛みが生じたりしてしまいます。 リウマチによる股関節変形の治療法の1つに手術があります。今回は、リウマチによる股関節変形の手術の内容やタイミングについて解説します 。 関節リウマチによる股関節変形の手術の内容 リウマチによる股関節変形の手術では、主に人工股関節置換術がおこなわれます。人工股関節置換術とは、股関節後面から切開して、リウマチによって変形してしまった関節を人工股関節と置き換える手術です。 手術時間は2時間くらいですが、変形の状態によっても時間は異なりますし、筋肉質の人や太っている人は一般的な人よりも時間がかかることが多いです。 一般的には、入院後3週間くらいで退院することができます。使用される人工股関節の一般的な耐用年数は20年くらいと言われていますが、近年では新たに改良されているためそれ以上の耐用年数が期待できます。 手術による傷口は股関節の後面に残り、大きさは12センチくらいです。あまり変形していない場合は小さくすむこともありますし、逆に大きく変形していると傷口も大きくなることがあります。 手術をおこなうタイミング 関節リウマチによる股関節変形の手術は、受けるタイミングも重要です。 手術が検討される主なケースは、以下のようなもがあります ・検査で炎症が進行していることが認められる場合 ・日常生活に大きな支障が出るくらい痛みがある場合 ・薬物療法や運動療法などでも改善できそうにない場合 こうしたケースに当てはまる人であっても、歩くのにも支障が出たり、耐えることができないほど痛くなったりするまで、我慢してしまう人も少なくありません。 しかし、先延ばしにせずに適切なタイミングで手術をおこなうことで、早期回復の可能性も高くなるので、医師と相談してタイミングを誤らないことが大切です。 股関節変形の治療に再生医療も選択肢の1つ 関節リウマチによる股関節変形の治療というと、これまでは保存療法をおこなって、思うような改善ができない場合は手術をおこなうという選択肢しかありませんでした。 しかし、近年では自分の細胞で損傷した軟骨を修復させる再生医療も選択肢の1つになっています。 手術は身体の負担のことを考えると不安だという人や、手術を受けて入院する時間がとれないという人は再生医療も検討してみることをおすすめします。 まとめ・関節リウマチ(股関節)による変形で人工関節にすべきタイミング リウマチによる股関節変形の手術について紹介しました。リウマチによる股関節変形の状態によっては、手術が検討されることもあります。手術を受けるのであれば適切なタイミングで受けることができるように医師のアドバイスを聞いてしっかりと判断しましょう。 また、現在では再生医療という選択肢もあり、体に負担のない治療法として注目されています。再生医療を検討してみたい方は、専門のクリニックで相談することをおすすめします。 監修:リペアセルクリニック大阪院 ▼こちらも併せてご参照ください
最終更新日:2023.04.17 -
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糖尿病でインスリン注射をやめることはできるのか? 糖尿病治療にはさまざまな方法がありますが、薬物療法の一種に「インスリン注射」があります。 「一生、治らない病気」と呼ばれる糖尿病の患者さんは、このインスリン注射をやめることはできないのでしょうか? 今回は、糖尿病のインスリン注射をやめる方法について解説します。 こちらも併せてご参照ください 糖尿病患者がインスリン注射をやめるには? 糖尿病患者さんが必要とする治療法は、大きく分けて以下の3種類です。 ・食事療法(食事制限により糖質やエネルギー摂取量をコントロールする) ・運動療法(運動により血糖の消費やインスリンの働きをコントロールする) ・薬物療法(薬物により血糖値の状態をコントロールする) このうち「インスリン注射」は、「薬物療法」に属します。 一般的な糖尿病治療は、「食事療法」と「運動療法」をベースに、それでも血糖値をコントロールできない場合に薬物療法が併用されることが多いです。 つまり、薬物療法を併用していた患者さんでも、治療の結果により血糖値の状態が改善されれば薬物療法を中断し、食事療法と運動療法で血糖値をコントロールするスタイルに移行できる可能性があります。 糖尿病患者さんがインスリン注射をやめるためには、薬物療法に頼らなくても良いと診断されるレベルまで治療を進めなければなりません。 誰もが薬物療法をやめることができるわけではない 糖尿病患者さんのすべてが薬物療法をやめることができるわけではありません。 例えば、糖尿病治療には「運動療法」が重要なポイントの1つとなりますが、年齢や身体機能の関係で治療に十分な運動をできない場合もあります。また、合併症などの関係で糖尿病が重症化し、治療がなかなか奏功しないケースもあるでしょう。 このように、患者さんによっては食事療法と運動療法だけで十分に血糖値をコントロールできるレベルまで症状が改善しない場合もあり、その場合は飲み薬やインスリン注射を利用しなければならないのです。 インスリン注射をやめる治療法「再生医療」の可能性 糖尿病の治療法の1つとして、「再生医療」に注目が集まっています。再生医療は、壊れた組織(細胞)を修復する機能を持った「幹細胞」の働きを利用し、体の自己再生機能を促進することでさまざまな病気・怪我の治療に役立つ可能性が注目されています。 糖尿病もその1つであり、糖尿病に深く関係する「すい臓」の機能を修復することでインスリンの働きを改善し、インスリン注射をやめるのに十分なレベルまで症状を改善できる可能性があるのです。 まとめ・糖尿病でインスリン注射をやめることはできるのか? 再生医療の成果は個人差があるので一概には言えませんが、糖尿病の症状が改善することで治療方針を大幅に変化させられる可能性を秘めていることは間違いありません。 インスリン注射をやめるためには症状の改善が必要不可欠です。再生医療による治療を検討してみてはいかがでしょうか。 糖尿病について詳しく知りたい方は、こちらもご覧ください。
最終更新日:2022.11.24 -
- ひざ関節
関節リウマチ|膝裏の痛みに対する原因や対処方法を知ろう 関節リウマチは身体のいろいろな箇所に症状が出てきますが、膝も症状がよく出る箇所の1つです。そのため、関節リウマチによる膝裏痛みでつらい思いをしている、日常生活に支障が出ているという人も少なくないでしょう。 今回は、関節リウマチによる膝裏痛みの原因や症状、対処方法などについて解説します。 関節リウマチによる膝裏痛みの原因 関節リウマチは、手や足の指、手首、足首、肘、膝、股関節などの関節の腫れや痛み、こわばりなどの症状が出るのが特徴です。関節リウマチで膝裏痛みが出る理由は、関節の内側を覆っている滑膜が攻撃されて炎症を起こすためです。 滑膜が攻撃を受けてしまう原因はまだ明らかになっていませんが、免疫の異常や女性ホルモンによる影響などが原因ではないかと考えられます。 関節リウマチによる膝の変形 関節リウマチというと手や足の指が変形してしまうのはよく知られていますが、膝も変形するので、関節リウマチの膝裏痛みがある人は注意が必要です。 膝の変形には、内半膝(内側の関節が破壊されて膝が外側に変形した状態)、外半膝(膝の外側が破壊されて膝が内側に変形した状態)、波形膝(真っすぐ立つと、両膝が左右どちらかに同じ方に向いている状態)といったタイプがあります。 関節リウマチの膝裏痛みの対処方法 関節リウマチによって膝裏痛みが生じた場合は正しい対処をとることが大切ですが、具体的にどのように対処すべきかを紹介します。 冷やすべきか温めるべきか 関節ウマチによって膝裏痛みがある場合、痛いところを冷やすべきか温めるべきか悩む人も多いと思いますが、その関節リウマチが急性期か慢性期かによって対処が異なります。 膝裏に赤みや熱があって腫れている急性期の場合は、膝裏を冷やすことで痛みを緩和させることができます。また、急性期を終えて熱や腫れがなくなった慢性期の場合は、膝裏を温めて血行をよくすることで痛みを緩和させることができます。 足は動かすべきか 関節リウマチで膝裏痛みがある場合、膝を動かさずに安静にしておくべきか、動かすべきか悩む人も多いでしょう。関節は動かさないでいると固くなってしまいますし、周辺の筋肉も痩せていってしまいます。 急性期で熱や腫れがあるときは無理して動かすべきではありませんが、慢性期は無理のない範囲で足を動かしたり伸ばしたりすることが大切です。 まとめ・関節リウマチ|膝裏の痛みに対する原因や対処方法を知ろう 関節リウマチによる膝裏痛みの原因や症状、対処方法などについて解説しました。関節リウマチによる膝裏痛みがあっても、我慢できる程度である場合だとそのままにしてしまったり、無理をしてしまったりしがちです。 しかし、放置することで、痛みが増したり、膝が変形したりと症状が悪化してしまう可能性があるので、早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けてくださいね。 監修:リペアセルクリニック大阪院 ▼こちらもご参照ください
最終更新日:2022.09.21 -
- 糖尿病
1型糖尿病の食事で注意すべきことは 1型糖尿病の食事では、栄養バランスの取れた食事を規則正しく取ることを意識していれば特別な制限はありません。ただし、普段の生活のなかで注意しておきたいポイントもあるので、それら概要を紹介していきます。 1型糖尿病とは 1型糖尿病とは、すい臓でインスリンを分泌する「β細胞」が破壊されてしまうことで起こる病気です。β細胞が壊れると、インスリンの分泌が弱まったり、ほとんど出なくなったりします。 体内でインスリンが不足すると、血糖値が高い状態が続いてしまうため、高血糖を原因とする腎臓や眼の病気をはじめとした合併症を発症するおそれがあるのです。 世界中の糖尿病患者のうち、1型糖尿病の患者は約5%といわれています。発症するのは若年層が中心ですが、幅広い年齢で発症する可能性がある病気です。 日本国内には、生活習慣などの要因で発症する2型糖尿病の患者の方が多くいますが、1型糖尿病は2型糖尿病とは原因がまったく異なるほか、治療法も大きく異なるのが特徴です。 1型糖尿病の原因 1型糖尿病は、すい臓にあるβ細胞が破壊されることに起因して起こる病気ですが、β細胞が破壊されてしまう原因について詳しいことはまだ明らかになっていません。 現在考えられているのは、免疫反応に異常が生じ、自分の細胞を攻撃してしまうことです。これを自己免疫といい、血液検査で確認できます。 自己免疫が起こっているかどうかの検査(自己抗体の検査)は1型糖尿病の診断で用いられています。 1型糖尿病の種類 1型糖尿病にかかるとβ細胞が破壊されます。一般的にβ細胞の破壊は進行性であることから、患者の方は病気の進行とともに体内でインスリンをほとんど出せない状態になってしまいます。 1型糖尿病の治療でインスリン注射が必要となるのはそのためです。病気が進行すると、インスリン製剤によってインスリンを補い続ける「インスリン依存状態」となります。 1型糖尿病の進行のスピードは、劇症・急性発症・緩徐進行の3種類に分けられます。1型糖尿病の種類について、それぞれ見ていきましょう。 劇症1型糖尿病 劇症1型糖尿病は、1型糖尿病のなかでもっとも急激に発症するものです。7日前後でインスリン依存状態になることから、すみやかにインスリンを補う必要があります。 早期にインスリンを補うことができなければ重症化するおそれもあるため注意が必要です。また、急激にインスリンが不足すると「糖尿病ケトアシドーシス」が生じるおそれもあります。 これは、インスリン不足から血糖上昇が起こり、極度の脱水状態に陥ってしまう症状であり、悪化すると昏睡状態に陥る危険性があります。 劇症1型糖尿病の早期対処のためにも、医療機関での診断をできるだけ早めに受けることが大切です。 急性発症1型糖尿病 急性発症1型糖尿病はもっとも発症頻度が多く、1型糖尿病の典型的なものです。この場合、糖尿病の症状が出てから数カ月でインスリン依存状態となってしまいます。 急性発症1型糖尿病は医療機関の血液検査によって発見されることが多くあります。急性発症1型糖尿病では、体内に残っていたインスリンが一時的に効果を発揮することで高血糖の症状が改善する患者の方もいます。 これを「ハネムーン期」と呼びます。しかし、その後、インスリン不足の状態になるためインスリン製剤にて治療を行います。 緩徐進行1型糖尿病 緩徐進行1型糖尿病は時間をかけて少しずつインスリンの分泌が弱まっていくのが特徴です。 インスリン分泌が弱まるまでには短い方で半年、長い方であれば数年かかります。初期段階であれば、インスリン製剤による治療を行うことなく血糖値を抑えることも可能です。 緩徐進行1型糖尿病は、血液検査によって自己免疫が起こっている(自己抗体がある)ことから発見されることがあります。 こちらのタイプでは、すい臓への負担を避けるためにインスリンを補う治療が行われます。 1型糖尿病の治療方法 1型糖尿病の治療では、血糖コントロールを続けることで高血糖を防ぎ、糖尿病の進行や合併症を予防することが大切です。インスリンを補い適切な治療を行えば、健康的な日常生活を送ることができるため、医師の指示にしたがった治療方法を継続してきましょう。 注射によるインスリン治療 基本的には注射によってインスリンを補う、インスリン治療が行われます。インスリンがほとんど出なくなってしまっているため、インスリン製剤によって補う必要があるのです。 インスリン注射の量は、患者の方の状態に合わせて決められています。インスリンの量が多すぎると低血糖を引き起こすおそれがあるため、低血糖の症状についても理解し対処できるようにしておくことが大切です。 食事制限はない 糖尿病の食事制限については型によって違いがあります。2型糖尿病では食事療法は欠かせません。そのため、人によっては食事制限を受けることもあります。 一方、1型糖尿病は、そもそもすい臓からインスリンがほとんど分泌されていない状態ですので、インスリンの補充は注射に頼ることになります。 そのため、1型糖尿病の場合には食事制限が不要となります。1型・2型ともに「食べてはいけないもの」はなく、どのような食材であっても口にして問題ありません。 ただし、「制限」がないだけで、まったくの自由というわけではありません。暴飲暴食や不規則な食事をしていては、弱っているすい臓に過剰な負担をかける可能性があります。 そのため、栄養バランスを考慮しつつ、1日3食の規則正しい食事を心がけることが大切です。 また、糖質の管理も大切となります。食事による糖質コントロールの結果、1型糖尿病患者の方もインスリン注射の量を減らすことができ、注射量を減らすことで血糖値コントロールをしやすくなるメリットがあります。 特に1型糖尿病は血糖値が乱高下しがちですので、糖質量を管理することは、その予防においても効果的です。 血糖コントロールをする「カーボカウント」 糖尿病における食事療法のひとつにカーボカウントがあります。これは、一回の食事における炭水化物(=カーボハイドレート)の量を計算し、血糖値をコントロールする方法です。 炭水化物量が把握できれば、急激な血糖値の上昇を抑えられ、インスリン量も調整できるようになります。 糖質制限と聞くと、一切主食を取らないなど極端なものを思い浮かべるかもしれませんが、カーボカウントを用いて食事を管理していけば食事の自由度は広がります。 また、肥満の予防にもつながります。 1型糖尿病の治療の注意点 1型糖尿病は長期にわたる継続的な治療が必要です。そのため、治療中にさまざまなトラブルやリスクに見舞われることがあります。特に注意しておきたいのが、インスリン過剰による低血糖や低血糖による失神、シックデイ中の血糖コントロールです。 低血糖が起こってしまった場合の対処法 低血糖が疑われる場合はブドウ糖など血糖値を早く上げてくれる食品を取りましょう。また、食事があまり取れなかったときや長い運動を控えているような場合は、あらかじめ食べ慣れている食品を少しだけ捕食しておきます。 なお、低血糖により意識がなくなってしまう場合に備え、ブドウ糖や砂糖などをカバンに入れておきましょう。 低血糖が起こった場合でも少しは意識があるなら、周囲の人がブドウ糖などを飲ませることですぐに意識は戻ります。なお、甘いジュースなどでも代用は可能です。 近しい人たちには上記のことをあらかじめ伝えておきましょう。 シックデイで食事ができないときのインスリン注射は? 糖尿病治療中に風邪をひいてしまったり、発熱や下痢、腹痛などに見舞われ食欲がなくなってしまう局面をシックデイと呼びます。ここで注意したいのは、「インスリン注射を自己判断で中断しない」ということです。 1型糖尿病の場合は体内でインスリンがほとんど分泌されていないため、それを補うためにインスリン注射が必要です。そのため、食事ができていなくても基礎分泌のインスリン注射は投与量を変更してはいけません。 ただし、食事ができない状況では血糖値などにも影響が出てきます。この調整は食事量や血糖値に合わせて、追加分泌の即効型インスリンの量で整えるようにしてください。 まとめ/1型糖尿病の食事で注意すべきことは 1型糖尿病の場合では2型糖尿病と比べて厳しい食事制限などはありません。ただし、普段の生活のなかでは、規則正しく食事を取り、糖質量を把握することなどが求められます。 なお、糖尿病は自覚症状としてなかなか気づけない反面、早めの発見が大切です。心当たりの有無にかかわらず、定期的に医療機関での検査を受けるようにしましょう。 監修:院長 坂本貞範 糖尿病について詳しく知りたい方は、こちらもご覧ください。
最終更新日:2024.01.12 -
- 糖尿病
糖尿病における運動療法とは│効果を引き出す運動のコツ 糖尿病治療の方法の1つに運動療法があります。体を動かす習慣を生活に取り入れることで筋肉の活動力が高まると、さまざまなメリットを得られるようになります。 こちらでは糖尿病治療の運動療法について詳しく紹介していきます。糖尿病の症状改善、健康維持のためにぜひ参考にしてください。 糖尿病治療における運動療法とは 糖尿病治療では、食事療法や薬物療法と合わせて運動療法を取り入れることが望ましいと考えられています。 運動療法は糖尿病治療という目的のほかにも、さまざまなメリットが期待されます。 食事療法、薬物療法と並ぶ糖尿病治療の有力な手段 糖尿病の治療には食事療法や薬物療法に加え、日々の生活に運動を取り入れる運動療法も有効な手段として推奨されています。その理由は、2型糖尿病の原因の1つに運動不足が挙げられるからです。 運動をしてエネルギーを消費すると肥満の解消につながります。また、運動により筋肉の活動量が高まるとインスリンの働きが促進されるようになります。 1型糖尿病の場合はインスリンの作用機能の回復までは望めないものの、運動によって筋力が強化されたりストレスが解消されたりと、治療に取り入れるべき好ましい効果が期待できます。 運動療法を行うメリット 運動療法は糖尿病治療に有効であるだけでなく、健康維持にも幅広く役立つメリットがあります。以下は運動療法で期待できる効果の一例です。食事療法や薬物療法と組み合わせて取り入れましょう。 <運動療法により期待される効果> ○がん予防 ○動脈硬化予防 ○骨粗鬆症予防 ○血圧を下げる ○快眠 ○健康的な体重・体型維持 ○若々しさを保てる 糖尿病を改善する運動の効果 糖尿病治療において運動にはさまざまな効果が期待されます。どのような効果があるか知ることで、運動療法へのモチベーションもアップするでしょう。 ここでは糖尿病改善につながる運動の効果を見ていきます。 内臓脂肪をへらす 2型糖尿病患者には、偏った食生活や運動不足などが続いた結果、肥満になってしまった方が多く見られます。また、太っていないように見えても、内臓脂肪が蓄積した「かくれ肥満」の可能性があります。 内臓脂肪が蓄積された状態はインスリンに対する反応が低下する「インスリン抵抗性」を生じさせるため、血糖値を下げるためのインスリンも多く必要になってしまうのです。 脂肪を減らすことができればインスリンの効きがよくなり、血糖値の上昇を抑えることにもつながるのです。皮下脂肪・内臓脂肪を減らすためにも、運動は欠かせない要素です。 食後の血糖上昇を抑制する 食後は血糖値が急激に上昇しやすくなるタイミングです。そのような血糖値の上昇を抑えるためにも、運動はとても効果的です。 運動にてブドウ糖や脂肪酸が消費されることで、血糖値の低下につながります。 運動におすすめのタイミングは食事から1時間ほどたった後です。食事で増えた血中のブドウ糖や脂肪酸の利用を促し、血糖値の急激な上昇を防ぐ効果が期待されます。 筋肉を増やす 血糖値の上昇は、ブドウ糖の合成によって誕生したグリコーゲン(貯蔵糖)の分解によっても起こります。 肝臓や筋肉に貯めこまれているグリコーゲンは、分解されてブドウ糖となり、血糖値を高めるために使われます。血糖値が低下している場合には問題ないのですが、糖尿病の場合はこれ以上の高血糖になるのを抑制しなければなりません。 ここで活躍するのがインスリンです。インスリンはブドウ糖の合成を促進し、グリコーゲンの分解を抑制してくれます。そのほか、脂肪の合成・分解にもインスリンがかかわっています。インスリンが適切に作用していれば、血中のブドウ糖や脂肪酸が増えすぎることはありません。 一方、インスリンの働きが弱まってしまうと血中のブドウ糖が多くなりすぎてしまいます。この状態が高血糖です。高血糖が長期間続くと糖尿病を引き起こします。 インスリンの作用を適正に戻すためには筋肉量を増やすことが効果的です。運動により筋肉量が増えると血糖値低下につながります。 筋肉が増えてエネルギー消費量がアップすると、消費されるブドウ糖も増え、血中のブドウ糖が減っていくからです。 運動療法の具体的な方法は 運動療法は主に「有酸素運動」と「筋力トレーニング(レジスタンストレーニング)」に大別されます。これらの運動をバランス良く行うことで、健康維持に役立てていきましょう。 ご自身のライフスタイルに合わせ、楽しみながら続けられる運動から始めてみてください。 有酸素運動とは 有酸素運動とは、体内で酸素を使うことで糖や脂肪を燃焼させる運動のことです。日常生活で誰もが行っている歩行も、早歩きをすることで有酸素運動になります。 有酸素運動を効果的に行うためには、1回あたり20~40分の運動を1週間に3回以上続けましょう。 <主な有酸素運動> ○ジョギング ○ウォーキング ○スイミング ○エアロビクス ○サイクリング ○ラジオ体操 ○テニス 筋力トレーニング(レジスタンストレーニング)とは 筋力トレーニング(レジスタンストレーニング)とは、筋肉に繰り返し抵抗をかけて鍛えることで、筋力を高める運動のことです。 運動によって基礎代謝が高まることで、エネルギーを消費しやすく肥満になりにくい体づくりにつながります。日常生活で行う階段の上り下りなどもトレーニングになります。 <主な筋力トレーニング> ○ダンベル運動 ○腹筋 ○腕立て伏せ ○スクワット 日常でできる運動療法はウォーキングがおすすめ もともと運動が苦手な方は、運動療法と聞いて少し抵抗を感じてしまうかもしれません。そうであれば、日常生活に自然と取り入れられるウォーキングから始めてみるのがおすすめです。 ウォーキングで足腰を鍛え、年齢を重ねても運動を続けられる体づくりを目指しましょう。 効果的なウォーキングのコツ ウォーキングの効果を高めるためには、正しい姿勢で歩くことが大切です。また、ウォーキングの際は通常の歩行よりもややスピードのある早歩きを心がけましょう。 歩きながら軽く息がはずむ程度の早歩きで、効果的な運動療法となります。 <ウォーキングフォームのポイント> ○肘を90°に曲げて、腕を大きく振る ※きちんと肘を曲げて体を動かすと、背中の筋肉を鍛えることにつながります。 ○背筋を伸ばす ○歩幅は広めに ○前を見て歩く ○肩の力は抜く○足はかかとから着地させる 運動時間の目安 糖尿病の予防や糖尿病の進行を抑えるためのウォーキングは、1週間に150分以上の運動時間を目安にしましょう。ただし、運動不足による体力の問題がある方は、まずは60分以上を目標に定めウォーキングを取り入れてみてください。 運動はできるだけ毎日続けて行うことが大切です。習慣として楽しく体を動かしていきましょう。 小まめなウォーキングも合計すれば十分効果が得られる 日頃から仕事や家事などで忙しく、30分以上のまとまった時間をなかなか取れない方は、小まめに歩くことから始めてみましょう。たとえば、通勤やちょっとした外出時に早歩きをすれば、10分間程度のウォーキングを行えます。買い物や犬の散歩でも同様です。 意識して階段を使うことや、自転車通勤への切り替えも運動療法につながります。 運動療法で気をつけるポイント 運動療法は糖尿病治療においてさまざまなメリットがありますが、注意すべきポイントもあります。誤った方法で運動を続けたり、運動の内容が適していなかったりすると、かえって健康を損ねることにもつながりかねません。 運動療法を実践するうえで気をつけておくべきことを紹介していきます。 気を付けるポイントについて詳しくはこちら 主治医に相談しましょう 場合によっては運動が禁止・制限されるケースもあるため、あらかじめ主治医に相談しておきましょう。下記は、運動療法を控えるべきケースの一例です。 <運動を禁止・制限したほうがいいケース> ○高血糖値 ○脱水時 ○腎臓の病気が進行しているとき ○重い心臓病 ○骨や関節の病気 ○糖尿病壊疽 食事療法と運動療法は2つをセット 運動療法を行う際は必ず食事療法と組み合わせましょう。運動を始めると食欲が増加することがありますが、食べる量が増えてしまうと糖尿病治療に影響が出るおそれがあります。 食事のコントロールも運動同様に不可欠であることを理解し、2つの治療法をセットで行うことが大切です。 運動をする前には準備体操 運動前には準備体操を欠かさずに行いましょう。急激に体に負担をかけるとケガにつながる可能性があるため、体を動かすことに慣れていない方は特に注意してください。 また、悪天候や猛暑・厳寒など極端な気候のときは屋外での運動を控えるなど、無理のないようにしましょう。 自分に合った運動を行う 運動を続けた結果、体への負担や違和感を覚えるのであれば一度やり方を見直してみてください。自分の病状・体調・体力に合わせて、無理なく体を動かすことが大切です。 自分が興味を持て、自然と楽しめるやり方を選ぶと良いでしょう。 自分の体に合った靴で運動する 糖尿病治療では足腰の健康維持が重要となります。運動療法では自分の足に合った靴を履いて、足腰を傷めることがないように注意しましょう。運動を行った前後で足に違和感や変化がないのを確認し、気になるところがあればすぐに主治医に相談してください。 運動の前後に十分な水分を取りましょう 運動をして汗をかくと体から水分が失われます。小まめに水分補給をして脱水を防ぎましょう。 特に夏場は気温が高く汗をかきやすくなるため、運動の前後や必要なタイミングで水分を取ることが大切です。 運動療法を長く続けるコツ これまでに運動習慣のなかった方には、運動療法を長続きさせるための工夫が必要となります。 たとえ一度続かなくなってしまっても、ほかの種目に挑戦してみたり、誰かを誘ってみたりと、諦めずにチャレンジすることが大切です。 ここでは運動療法を長く続けるためのコツを紹介していきます。 運動前後の血糖値や尿糖を測り自分に合った運動を見つける 運動の前後に血糖値や尿糖を測定して運動の効果を確かめてみましょう。効果を実感することで、体調管理のモチベーションがより高まるほか、自分に適した運動方法もわかってきます。 <測定値による対処法> ○運動前 測定の結果、血糖値が高すぎる場合は運動を制限してください。空腹時血糖値が250mg/dLを目安とし、それ以上であれば運動を控えましょう。 ○運動中 1型糖尿病の方は過剰な運動による低血糖に注意するとともに、ブドウ糖を持ち歩きすみやかに対処できるよう備えておきましょう。 ○運動後 血糖値が低い状態で運動をすると低血糖になる場合があります。特に空腹時の早朝や食前の運動の後に起きやすい症状なので、運動のタイミングを朝食後に切り替えてみるとよいでしょう。 日常的なものから徐々に運動量を増やしていく 運動療法がなかなか続かない場合は、諦めずに日常生活のなかでできる運動から始め、少しずつ運動量を増やしていきましょう。 ちょっとした移動や家事のなかにも、体を動かすきっかけはたくさんあるものです。以下の一例を参考に、気軽に取り組んでみてください。 <気軽に取り入れられる運動> ○掃除 ○犬の散歩 ○エスカレーターやエレベーターを使わない ○通勤時の早歩き ○テレビを見ながら体を動かす ○買い物 体調に合わせて無理をせず目標達成を求めすぎない 急激に体に負担をかけることを防ぐためにも、運動療法では目標のステップアップは慎重に進めていきましょう。 関節痛や風邪など体調に不安を感じるときには休みを取るなど、無理をしないことが運動療法を長続きさせるコツです。 運動が楽しくなってきたとしても、やりすぎに注意することも大切です。 運動に対する正しい知識を持つ 運動にはメリットだけでなくデメリットもあります。負荷をかけすぎると体を痛めるおそれもあることを理解しておきましょう。 自分に合った運動方法を選び、適切な運動量や強度の範囲を守り、あくまで健康維持のために運動を続けられるよう、正しい知識を身に着けておきましょう。 街探検やお店探しなど趣味と運動を一緒にできるようにする ウォーキングのコースを変えるだけでも新しい気分で楽しめるようになるものです。同じコースに飽きてしまったときは、あえて別の道を選ぶなど工夫してみましょう。 街探検のような気持ちで知らないお店を探してみるのも良いでしょう。運動以外の目的をウォーキングに取り入れることも長く続けるポイントの1つです。 まとめ・糖尿病における運動療法とは│効果を引き出す運動のコツ 運動療法は食事療法や薬物療法と合わせて行うことで糖尿病改善の効果が期待されます。 有酸素運動と筋力トレーニングをバランスよく行うことを意識しながら、まずは無理なく始められる運動を日常生活に取り入れていきましょう。 運動療法は健康維持のためにさまざまなメリットがある反面、注意すべきポイントもあります。主治医の指導のもと、体や症状に合わせた適切な運動を心がけてください。 監修:院長 坂本貞範 糖尿病について詳しく知りたい方は、こちらもご覧ください。
最終更新日:2022.10.10 -
- 免疫細胞療法
実は、ボディビルダーは「風邪をひきやすい?」 あの、凄い筋肉量と、いかにも強靭そうで強い肉体を持っている「ボディビルダー」、トレーニングを重ねているため基礎代謝が良く減量などとは無縁。すごくて健康そうに見えます。!病気などにも縁がなくウイルスや細菌などぶっ飛ばしてしまいそうなイメージってありませんか。 しかし…ご存知でしたか?意外ですが「風邪をひきやすい・・・!」ということ? 全ての方がそうではありませんが実は、風邪をひくことで悩んでいるボディビルダーが多いと言います。ボディビルダーのイメージとは真逆ですね。そこで今回は、いかにも丈夫で健康の権化のようなボディビルダーが実のところは風邪ひきやすい!ということについて、その原因と対策を解説します。 ボディビルダーが風邪ひきやすい原因とは? 私たちは、ある意味出来上がった姿である鋼のようなボディビルダーを拝見している訳です。その鋼のような姿になるという部分に何かありそうですね。 ボディビルダーが風邪ひきやすい原因として第一に考えられるのが「激しいトレーニングをしている」ことです。「え?トレーニングって鍛えてるという体にに良さそうなイメージがあるけど?」「運動って免疫力を高めるんじゃないの?」と思われた方も少なくないでしょう。 実は、どんな運動でも運動であれば「免疫力」を高められるというものではないのです。「免疫力」を考えて運動するのであれば「適度な運動を、継続的に行う」これが重要になります。 激しい運動の連続は、体にとってはストレスとなり、ストレスは免疫力を低下させてしまうからです。健康的に体に負荷を与えるには負担にならない適度な運動であることと、それを継続することが大切なのです。 あの超人のようなボディビルダーとしての肉体を作り上げるためのトレーニングは、健康とはまったく別もの。 理想の魅せるための肉体作りは、一般人とは違う超ハードなトレーニングを行うことが多く、これが肉体的なストレスとなって免疫力を低下させてしまいます。また、見せるための肉体改造はトレーニングだけでは完成しません。 トレーニングに合わせて無駄な脂肪を取り去るための食生活が待っています。それは、一般人のメニューとは違っていて食事回数や、食事の内容、そのカロリーなど、脂肪をとことん、そぎ落とすことに注力し、徹底的に「体脂肪率が低い」状態を作り出します。 この体脂肪が低い状態こそが「風邪のひきやすさ」に関係しています。なぜなら脂肪は、体温を維持する役割を担っており、ボディビルダーのように脂肪が少ないと、その効果が薄く、体温が低下しやすくなるのです。 病気に対する抵抗力である免疫力は、体温が高いほど高まる傾向にあります。脂肪が薄くて体温が下がりやすいボディビルダーは基本的に免疫力が低くなりやすいのです。 このように、ボディビルダーは理想の肉体作りのための行動が免疫力を低下させてしまい、風邪をひきやすくなります。イメージからは意外に思われましたが、意外に病気になりやすい不健康ともいえる状態とも言えます。このように理屈が分かると風邪をひきやすくなることにもうなずけます。 風邪をひきやすいのは免疫力の低下が原因 きつい食事の回数やカロリーなどのコントロールに加え、ハードなトレーニングによる身体作りがかせないボディビルダーにとって「風邪をひきやすい」といった病気への抵抗力が弱くなりがちのは仕方がないのでしょうか? 逆に無視することはできません。激しいトレーニングと厳しい減量という大変な想いをして作り上げた肉体はコンテストで評価されることに意義があるからです。場合によっては重症化し、コンテストに向けたトレーニングや食生活を含めたコントロールに大きな支障をきたす可能性もあります。 免疫とは、私たちの体には侵入した異物を排除する仕組みで、身体を病気から守ってくれる自己防衛システムのことです。たとえば風邪のウイルス菌が体内に侵入すると、それを撃退します。その仕組みこそが『免疫』です。 この免疫について、ボディビルダーに限らず、厳しいトレーニングを積み、鍛えられた肉体を持つアスリートは、免疫力が高いはずという思い込みがありますが実はそうではないということになります。 先にも申しましたが適度な運動で免疫力はアップしますが、逆に激しい運動はかえって免疫力を低下させます。例えばマラソンなどの強度の強い運動をした人は、しなかった人に比べて運動後に上気道感染症(風邪)にかかる率が2~6倍増加したという報告もあるほどです。 免疫力を高めて真の強靭なボディビルダーを目指す免疫細胞療法 そんなボディビルダーが免疫力を高め、風邪に強い体作りを目指すのであれば「免疫細胞療法」という先端治療を検討してみてはいかがでしょうか。免疫細胞療法は、体内に侵入した病原菌を攻撃する免疫細胞を採血等で取り出し、培養してから体内に戻すことで免疫力を高める治療法です。 免疫力を高めることによって風邪だけでなく、アレルギーやさまざまな感染症、更にがんの予防にも役立ちます。じかも、自分の体内から取り出した細胞を培養するため、アレルギーや、ドーピングなどに抵触することがありません。 ここではボディビルダーを例にお話をしましたが、このような免疫力の低下は、激しい運動やトレーニングを行うスポーツ選手全般にとっての課題ではないでしょうか。極限まで頑張るアスリートにとって健康に気づかうことは非常に大切。 アスリートが結果を出すために、そのパフォーマンスを最大に引き出すには免疫の高い身体づくりは非常に大切なことではないでしょうか。必要な時に必要なパフォーマンスを実現するのはスポーツ選手の目標です。 せっかくのトレーニングや練習を無駄にしない。このような先端治療方法があることを知り、自身の体調コントロールに役立て、良い結果を導き出せればよいのではないかと思います。 まとめ/ボディビルダーは風邪をひきやすい? ボディビルダーにとって、肉体作りを邪魔する風邪の存在は決して無視できないものですが、ハードなトレーニングと、ハードな体脂肪管理によって、どうしても風邪ひきやすくなることは否めません。 ボディビルダーだけでなく、ハードなプレーや、トレーニングなどの運動が多いスポーツ選手、アスリートは、必要な時にパフォーマンスを発揮するためにも免疫細胞療法による治療法を検討してみてください。 興味がればお問い合わせ下さい ▼ スポーツ外傷(筋・腱・靭帯損傷)に対する再生医療 当院の再生医療は、スポーツ選手のパフォーマンス(QOL)を維持する治療を推進しています 監修:リペアセルクリニック大阪院
最終更新日:2022.09.21 -
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- 再生治療
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半月板損傷の治療、手術のリスクとデメリット、再生医療の可能性 半月板損傷の代表的な治療は、手術です。手術で改善すると言われても、やはり心配はつきものです。 では、実際のところ半月板損傷の手術にデメリットはないのでしょうか?そこで、今回は半月板損傷の手術におけるデメリットをご紹介しましょう。 半月板損傷とは まずは半月板損傷についてお話ししましょう。半月板とは膝関節にある軟骨で、C型をした板状のものです。膝の内側と外側に1つずつあり、関節のクッション性を高める役割を担っています。 そんな半月板ですが、ジャンプやターンなどの動きや急激な衝撃で損傷することがあります。それが半月板損傷です。半月板損傷を起こすと、歩く時の痛み、膝の引っかかり感、腫れ、膝が曲がりにくいといった症状が出現します。 半月板損傷の治療は、手術以外にあり、保存療法とリハビリで様子を見ることがあります。しかし、症状がひどくなったり、断裂した半月板の一部が関節に挟み込むことが繰り返される場合には手術を検討することになります。 半月板損傷の手術とは 半月板損傷の手術は、関節鏡を使うことが多く、傷が小さくて済み、体への負担が比較的少ないという特徴があります。しかし、体の一部を切るわけですから、リスクがない訳ではありません。つまり、手術のデメリットも気になるところです。 半月板損傷の手術のリスク・デメリット 感染リスク リスクの頻度としては高くありませんが、傷口に細菌が入り感染するというリスクがあります。 感染すると膝が腫れたり、熱が出たりします。感染の治療を行うことになるので、術後のリハビリが遅くなるのはデメリットになるでしょう。 知覚鈍麻 手術の時に皮膚の表面にある知覚神経を傷つけてしまうリスクがあります。 そうなると、術後に皮膚の知覚が鈍くなる恐れがあるのです。ただ、これによって関節の動きが悪くなるわけではありませんが、けして感覚が鈍くなって良い訳はありません。これも手術のデメリットとして知っておくといいでしょう。 治療期間が長くなる 手術にかかる時間はそれほど長くはないのですが、手術の後のリハビリ期間が長期になります。断裂した半月板を縫い合わせたからといって、すぐにもとのように動くことができるわけではないことを理解しなければいけません。 手術後、すぐに膝に負荷をかけると再断裂が起こるリスクが高いので注意しなければなりません。 このような半月板損傷の手術の後、もとの日常生活に戻るまでには数か月、更にスポーツに復帰するまでには6か月程度はかかるの覚悟が必要です。早期にスポーツへ復帰したい人にとって、この治療期間は選手生命にも関わる大きなデメリットになるのではないでしょうか。 手術のデメリットをカバーする!半月板損傷の新しい治療法 半月板損傷の治療には外科的な手術を検討するのが一般的でした。しかし、手術にはデメリットもあるため、スポーツ選手などでは躊躇する人もいるのではないでしょうか。そこで今、注目されているのが、半月板損傷を外科的な手術ではなく「再生医療」で治すという方法です。 再生医療では、自身の細胞から採取して培養した幹細胞を膝に注射します。その幹細胞が損傷した半月板を修復してくれるのです。また、幹細胞が膝の炎症を抑えて痛みを軽減させてくれます。 自分自身の細胞を培養して用いるため、アレルギーなどの反応が少ない点、手術を避けることができる点で身体に優しい治療法と言えます。自身の幹細胞を用いるので副作用が少なくてすみ、治療期間も手術よりも短くなるメリットがあります。 まとめ・半月板損傷の治療、手術のリスクとデメリット、再生医療の可能性 半月板損傷の手術には感染のリスクなどのデメリットもあります。しかし、近年は手術に代わる治療として再生医療が注目されています。副作用が少なく治療期間を短縮できる再生医療なら、早期にスポーツ復帰できる可能性が高くなります。 半月板損傷で悩んでいる方、半月板損傷の手術におけるデメリットが気になる方は、再生医療による治療を検討してみてはいかがでしょうか。 監修:リペアセルクリニック大阪院 こちらもご参照ください
最終更新日:2024.02.07 -
- 再生治療
- 肝疾患
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疲れた肝臓の機能が回復する期間は?肝硬変も時間をかければ回復するのか? 「肝臓が疲れている」というフレーズを耳にしたことがある人は少なくないと思います。 肝機能が低下している状態を「肝臓が疲れている」などと表現しますが、疲れてしまった肝臓は休ませてあげたいですよね。しかし、肝臓はどのくらいの期間で回復するのでしょうか。 今回は、低下した肝機能が回復するまでに必要な期間について解説します。 肝臓が回復するまでの期間と肝臓の状態 肝臓の機能が回復するまでに必要な期間については、個人の肝臓の状態によって大きく違いがあるのです。 例えば、飲酒により一時的に肝臓が疲れている状態であれば、2日間の禁酒期間を設けることで肝臓は回復するといわれています。 一方で、慢性肝炎を放置して「肝硬変」になっている場合だと、いくら期間を設けても肝機能が回復することはありません。 極端な 2 例を挙げましたが、このように肝臓の回復に必要な期間および回復するかどうかについては、肝臓がどの程度のダメージを受けていて、どういった状態になっているかによって左右されるのです。 肝硬変は治らない? では、いくら期間をおいても肝臓の機能が回復しない「肝硬変」は、いわゆる「不治の病」ということなのでしょうか? 一般的な疲労やケガは、適切な状態を保っていれば、しばらくすれば元の状態まで回復することが多いです。 肝臓も、脂肪肝などの肝疾患がなければ数日~数週間の休息期間を設けることで回復することが多いですが、肝硬変にまで進行している場合は別になります。 肝硬変は、慢性肝炎などを原因として肝細胞が破壊され、修復を繰り返すことで肝細胞が線維化して肝臓が硬くなってしまう病気です。この状態は自然に治ることはなく、治療方針も肝炎に対する治療と、肝機能低下や合併症リスクを減らすための食事療法や運動療法が中心となります。 根本的な肝臓の問題改善につながる可能性がある「再生医療」 従来の肝硬変の治療法では、症状の進行と合併症の発症を防ぐ治療方針が中心でしたが、その常識を覆すかもしれない治療法が「再生医療」です。 再生医療では、壊れた組織を修復する働きをもつ「幹細胞」を利用することで、硬くなった肝臓を修復して肝機能を回復させられる可能性があります。 また、肝硬変にまで至っていないものの、脂肪肝などで肝機能が低下している場合も、再生医療を利用することで回復までの期間を短縮できる可能性があるのです。 「可能性がある」と言っているように、再生医療は 100 %肝機能を改善できるとは限りませんが、治らない肝臓を回復させることができる光明を見出せる治療法であるとして注目されています。 まとめ・疲れた肝臓の機能が回復する期間は?肝硬変も時間をかければ回復するのか? 普段から肝臓を労わっていれば、少し疲れた程度なら数日の期間で回復しますが、慢性的に肝臓が疲れていると肝疾患になってしまいます。そうなると、回復に時間がかかる、あるいは自然回復しない状態に陥ってしまう可能性があります。 再生医療は、肝臓の回復を手助けできる可能性がある治療法です。肝機能の低下に悩んでいる人は、再生医療による治療を検討してみてはいかがでしょうか。ご参考になれば幸いです。 監修:リペアセルクリニック大阪院 ▼こちらもご参照ください
最終更新日:2023.06.30 -
- 免疫細胞療法
運動すると風邪をひく!運動と免疫の関係と免疫細胞療法について 世の中には「運動すると風邪をひく」という方がおられ、そのことに悩んでいる人も少なからずおられます。 運動は健康に良さそうなイメージがありますが、実は運動と風邪のひきやすさには密接な関係があります。 今回は、運動すると風邪をひく原因について解説します。 運動すると風邪をひくというのは本当か? 運動すると風邪をひくということはあります。 これは、「激しい運動をしている」ことが原因であると考えられます。 運動は、適度なら身体に良いのですが、多すぎた場合、少なからず体に「ストレス」を与えてしまい、ストレスは免疫力を低下させる原因の1つなのです。 免疫力が低下する 実際に行われた研究の結果、運動の強度が激しいほどに免疫力が低下してしまうことがわかっています。 免疫力とは簡単に言えば「病気になりにくさ」のことであり、風邪のような感染症は免疫力の高さによってなりやすさが大きく左右されるのです。 つまり、運動すると風邪をひく人というのは、日ごろから自身にとって激しいレベルの運動をしているということになるのです。 適度な運動なら免疫力は高まる 運動すると風邪をひくのであれば「運動しなければいい」と思われるかもしれませんが、実はそれは、それで大きな間違いです。 運動は運動でも「適度な運動」を心がければ、むしろ免疫力は高まり、風邪をひきにくい体作りに寄与するからです。 同じく過去の研究結果において、運動頻度と風邪の関係について調べた結果、運動日数が多いほど風邪をひく日数も少なく重症度が低いという結果になっているのです。 免疫を高める適度な運動 ここで重要なのは「適度な運動が、どんな運動なのか?」ということでしょう。 これについては個人差がありますので一概には言えませんが、無理のないレベルの有酸素運動(ウォーキングやランニングなど)を継続するのが、一般的に適度な運動であるとされています。 もし、運動することで精神的にもストレスを感じているのであれば、それは適度な運動の水準を超えている可能性が高いです 免疫力を高めるためには運動日数も少なからず関係するため、無理なく継続できる程度の運動を心がけ、少しずつ日数や1回あたりの運動時間などのレベルを上げていくことをおすすめします。 免疫細胞療法でより積極的に免疫力を高める 運動すると風邪をひくことについては、免疫力や運動能力などの個人差があります。 そのため一概には言えませんが、やはり日常生活にも支障をきたす可能性が高いのではないでしょうか。 適度な運動を無理なく継続するためにも、基本的な免疫力を高めることは重要なことです。 それに寄与するのが、免疫細胞を培養して体内に戻すことで免疫力を高められる「免疫細胞療法」です。 「がん」のリスクを下げる効果も期待されており、運動すると風邪をひく人にとっては「生活の質」を高めるのに大きく寄与するのではないでしょうか。 まとめ・運動すると風邪をひく!運動と免疫の関係と免疫細胞療法について 運動すると風邪をひくのは、激しい運動をしている可能性が高いですが、軽度な運動でも風邪をひいてしまうのであれば基本的な免疫力が低下していることが疑われます。 さまざまな方法で免疫力を高められますが、より積極的に免疫力を改善したいのであれば免疫細胞療法を受けるという方法もあります。 免疫力を高めたい人は、免疫細胞療法を検討してみてはいかがでしょうか。当院でも免疫細胞療法を行っています。興味がある、詳しくお知りになりたい場合はお気軽にお問い合わせください。 監修:リペアセルクリニック大阪院 こちらもご参照ください
最終更新日:2023.10.14 -
- 再生治療
- 肝疾患
- 幹細胞治療
肝硬変を治す方法!再生医療は低下した肝機能を改善へと導く新たな治療法 病気の治療には「病気の原因を根本的に治療する方法」と「病気の進行や症状の発生を抑えることが目的となる治療」の 2 種類があります。 では、「肝硬変」を根本的に治す方法はあるのでしょうか。 今回は、肝硬変を根本的に治す方法について解説します。 こちらもご参照ください 肝硬変を治すことはできるのか? 結論から述べますと、従来の医療技術では肝硬変を根本的に治す方法はない!とされていました。 そもそも「肝硬変を治す」という意味について論じる必要もあるのですが、ここでは「肝硬変が治る=肝臓が元の状態に戻る」と定義しておきます。 肝硬変という病気は名前の通り「肝臓が硬く変質する」という状態なのですが、その原因は慢性肝炎などを原因として肝細胞が修復時に線維化し、それが蓄積することで肝臓が硬く小さくなってしまうのです。 この状態を放置すると肝臓を流れる血流が滞ることになり、そうなると、さまざまな全身疾患の合併症リスクを高めることになります。最終的に「肝臓がん」に進行してしまいかねない可能性があります。 一般的な「ケガ」であれば適切な治療を施せば自然に治るものですが、硬くなってしまった肝臓を自然に元の状態に戻すことができないのです。 ということは、肝硬変を治すことは不可能なのでしょうか?! 従来の肝硬変の治療方針 肝硬変を治す方法がないとしても、医療機関で肝硬変であると診断されれば、以降、その時点で適切と思われる治療を継続していくことになります。 肝硬変が治せないとすると、その治療は何を目的とするのでしょうか? それは「これ以上、肝機能を低下させず、合併症のリスクを減らす」ということが基本的な治療方針となります。 例えば「食事(栄養)」に関しては、バランスの良い食事を心がけながら患者さんの健康状態に応じてタンパク質やエネルギー不足に注意します。 そのほか、原因疾患の治療や運動療法などを継続することで肝機能の維持に取り組みますが、これを継続しても自然に肝機能が改善されることはありません。やはり、肝硬変を治すことは難しいのでしょうか? 肝機能の改善に役立つ!再生医療という可能性 これまで「治す方法がない」とされてきた肝硬変ですが、実は注目の新しい治療方法があります。それが「再生医療」という先端医療です。この治療方法なら肝硬変を根本的に治療できる可能性があります。 再生医療は、文字通り、再生させる医療です。仕組みは、幹細胞という誰の身体の中にもあり、さまざまな細胞に変化しながら組織を修復する細胞を利用すします。この幹細胞を用いることで肝臓を修復し、低下した肝機能を改善へと向かわせることを期待する治療法です。 治療の結果には個人差がありますが、合併症や肝機能低下といった恐怖から解放されるなどの効果を期待することが可能な方法です。 肝臓疾患への再生医療は、今まで「完治しない」といわれていた症状を根本的に改善できる可能性がある画期的な治療法です。 再生医療が肝硬変の改善に新たな道筋を付けたということです。 まとめ・肝硬変を治す方法!再生医療は低下した肝機能を改善へと導く新たな治療法 従来は治す方法がないとされていた肝硬変ですが、再生医療には肝硬変を治し、症状を改善できる可能性があります。 もちろん100%効果があるというわけではありませんが、可能性を見出せるだけでも十分に画期的な治療法であるといえるでしょう。 肝硬変や肝臓疾患による症状に悩んでいる人は、一考の価値ある治療法として検討してみてはいかがでしょうか。再生医療は可能性に満ちた治療方法です。興味があれば当院にお問い合わせください。ご参考になれば幸いです。 監修:リペアセルクリニック大阪院
最終更新日:2022.12.21 -
- 肩
- 再生治療
肩が痛い上がらない!原因と治療、病院は何科を受診すべきか? 急に肩が上がらなくなった!腕を上げると肩に強い痛みがある!ズキズキとした痛みで寝れない、こんな状態になると不安になられて当然です。 なぜ痛むのか?なぜ腕が上がらないのか?で、どうすれば良いのか?その原因と治療のため、病院に行くべきなのか、整体やマッサージで良いのか?迷われることでしょう。 できるなら最初、病院でしっかりと検査され、診断を受けられることをお勧めします。では「肩が痛い」「肩が上がらない」場合、病院で何科に行けばいいのか?ということもあると思います。 今回は、肩が痛む、肩が上がらないときには様子を見るか、病院に行くべきなのか?その際、何科を受診すればよいのかについて解説してまいりましょう。 肩が痛くて上がらない!この症状は四十肩か五十肩?はたまた肩腱板断裂? 肩を上げると痛みが走る、もしくは腕を上げると肩に強い痛みが起こるという場合は、体に何らかの異常が生じているサインです。 四十肩・五十肩だろうと思っていたら、肩腱板が損傷していたり、もしかすると断裂している可能性もあって、そうなると手術の可能性も考えられるのです。 そのため「肩(腕)が上がらない」「肩が痛む」という症状があるなら自己判断で「そのうち治るだろうと」放置せず、早めに病院を受診することをおすすめします。 前途のように、見た目だけでは原因が分からず、検査が必要なことがあるからです。 病院では何科を受診すればよい? 病院の何科を受診すればいいの?今回のように、肩が上がらない、肩が痛む場合は、まずは整形外科を受診することをおすすめします。 検査をしてみて他に原因がある場合は、他の科を紹介してもらえます。あなたがスポーツをしている場合は、スポーツ障害を扱っている病院を受診するという方法もあります。 肩が痛む、上がらない ・病院の整形外科を受診 ・他に原因がある場合は他科の紹介も可能 ・アスリート、スポーツ選手は、スポーツ障害を扱う病院もある 肩が上がらない!手術を避ける新たな治療法の選択 肩が上がらない状態が続くと手術を検討することがあります。スポーツをしているなら肩が上がらないと、思うようなパフォーマンスを発揮することが難しくなるなど復帰が難しくなるかもしれません。 ただ、治療とはいえ、手術をするとなれば、その成否はもとより、患部にメスを入れることになり、復帰までの期間が延びてしまい、その間はトレーニングもできなくなる可能性もあります。 手術を受けるべきか?!悩ましいところです。 しかし近年、身体への負担が少なく、治療期間も短くて済む【再生医療】という選択肢があります。アスリートにとって朗報ですが、自由診療となり、健康保険が使えない点で検討が必要です。 再生医療は、「肩が上がらない」という場合の治療法としても、もちろん有効ですがスポーツ医療の分野でも大きな注目を集めています。 実際、有名なスポーツ選手が再生医療による治療によって短期間で復帰を果たしています。再生医療では、自分の細胞からとった幹細胞を患部に注射し、損傷した腱板を修復するという治療法が用いられます。 注意点としては、再生医療は新しい治療方法、先端治療法なので、一般的な病院で受けることができません。厚生労働省から認可を受けて再生医療を提供しているクリニックなどでの受診が必要です。 当院も厚生労働省から認可を受けて日本でもトップクラスの症例数がございますので、もしもお悩みなら、お気軽にご相談ください。親切丁寧にご説明させて頂きます。 再生医療 ・これまでできるようになった先端医療 ・手術を避けることができ、入院も不要 ・一般的な医療機関で受けることができない ・厚生労働省から許可を得た再生医療専門のクリニックを受診する必要性 まとめ・肩が痛い上がらない!原因と治療、病院は何科を受診すべきか? 肩が上がらないときに病院を受診するか、何科に行くべきか悩む人は多いと思います。基本的には、症状があるときには、原因究明、治療のためにはレントゲンやMRI、エコーなど検査が必要です。 すでに肩に何らかのトラブルが起きている可能性がありますから、なるべく早く医療機関、整形外科を受診しましょう。 早めの受診が早期治療につながり、その分、治癒も早まります。また、手術にかわる新たな治療法として再生医療という治療法も期待されています。 肩が上がらない、スポーツに復帰したい、早く治したいという方は、整形外科はもちろんですが、再生医療についても検討してみてはいかがでしょうか。 監修:リペアセルクリニック大阪院
最終更新日:2023.10.09 -
- 免疫細胞療法
風邪をひきにくい体作りとは!そのために役立つ4つの方法 「風邪をひきやすい」と悩んでいる人がいますが、風邪をひくと生活に支障をきたすだけでなく、時には命に関わる症状に苦しめられる可能性もあります。 そこで今回は「風邪をひきにくい体作りとは!」と題して、そのために役立つ4つの方法について解説します。 1.風邪をひきにくい体作りに必要な食生活 風邪をひきにくい体作りのためには「食事」に注目するのがおすすめの方法の1つになります。 風邪をひきにくい体作りには「免疫力を高める」ことが重要なのです。 基本的にバランスの良い食事を心がけてもらうとして、さらに免疫力を高めるためには以下の食べ物を積極的に食べることをおすすめします。 ・発酵食品 ・きのこ ・フルーツ ・野菜 ・緑茶 2.風邪をひきにくい体作りに必要な運動 風邪をひきにくい体作りのためには「適度な運動」を習慣づけることも重要です。 運動は血行を促進して体を温め、ストレスを発散することで免疫力を高めることができます。 ただし、あくまでも「適度な運動」を心がけるようにして、「激しい運動」は避けるようにしてください。 無理のない有酸素運動を中心に、継続することを前提として運動を始めてみましょう。 3.風邪をひきにくい体作りに必要な生活習慣 風邪をひきにくい体作りには、食事や運動だけでなく、さまざまな生活習慣の改善も必要になります。 以下の生活習慣は免疫力を高める可能性があるため、問題があれば可能な限り改善してください。 ・睡眠不足を解消する ・生活リズムを一定に保つ ・ストレスを溜めこまない ・疲労を溜めこまない ・過度な飲酒と喫煙を控える ・体を冷やし過ぎない 4.風邪をひきにくい体作りには「免疫細胞療法」もおすすめ! 風邪をひきにくい体作りのためには生活の中でさまざまな改善点を見出すことができますが、必ずしもすべての人が上記の改善を実行することで免疫力を十分に高められるわけではありません。 また、生活スタイルの都合上どうしても改善できないポイントも少なからず存在するでしょうし、もっと積極的に免疫力を高める方法を実践したいという需要もあると思います。 そんな人におすすめなのが「免疫細胞療法」です。 免疫細胞療法は、患者さんの体内から取り出した(基本は採血)免疫機能に関わる細胞を培養し、これを体内に戻すことによって患者さんの免疫力を高めます。 免疫細胞療法は、風邪などの感染症リスクを低下させると同時に「がん」の予防にも役立つとされています。 まとめ・風邪をひきにくい体作りとは!そのために役立つ4つの方法 風邪をひきにくい体作りのためには免疫力を高めることが重要です。また、食事や運動、生活習慣の改善で免疫力を高められる可能性があります。 もっと積極的に免疫力を高め、病気に負けない体作りを目指すのであれば、免疫細胞療法もおすすめです。興味がある方は、当院までお問い合わせ下さい。 監修:リペアセルクリニック大阪院
最終更新日:2023.11.27 -
- 肩
- 再生治療
20代なのに肩が上がらないって?五十肩にはまだ早い!その原因とは 20代で肩が上がらないという症状が出てしまう人がいます。 「若いのに、なぜ20代で?」・・・と疑問に思う人もいるかもしれません。 そこで今回は、20代という若さでも肩が上がらなくなる原因、また、そうなってしまった場合の治療法について解説します。 20代でも肩が上がらない!その原因とは 肩が上がらないのは40代や50代など、中高年以上の人の話だと思うかもしれません。 しかし、実は20代という若さでも起こります。 そして、その原因もさまざまです。 肩関節周囲炎 肩関節周囲炎とは、いわゆる四十肩や五十肩のことです。 40代や50代で発症する頻度が高いので四十肩や五十肩という名前で呼ばれますが、正式名称は肩関節周囲炎です。 肩関節には骨・軟骨・靭帯・腱板・関節包など多くの組織が存在します。 加齢などが原因になり、これらの組織が衰え、炎症が起こると肩関節周囲炎になります。 主な症状は肩の痛みですが、肩が痛くて動かさないでいるうちに関節が拘縮し、肩が上がらなくなってしまうのです。 加齢が原因であることが多いのですが、はっきりとした誘因がわかっていない部分もあり、20代や30代という若さでも起こることもあります。 腱板損傷 ケガやスポーツなどによって肩を使い過ぎたことによって起こるのが腱板損傷です。 腱板は肩関節にある腱のことで、この腱は板状になっているので「腱板」と呼ばれます。 肩をぶつけたり、転んで手をついたりしたときに肩に負荷がかかることで腱板が断裂してしまいます。 痛みを伴うパターンや、痛みはないけれど肩が上がらないなど症状は人それぞれで、20代でも発症します。 腱板損傷は、特に肩や腕をよく動かすスポーツで起こるリスクが高く、スポーツ医療でもよく扱われるスポーツ外傷のひとつです。 こちらも併せてご参照ください 肩が上がらないときの治療法とは?20代でも無理は禁物! 肩が上がらない原因が肩関節周囲炎や腱板損傷という場合、まずは患部を固定して安静を保ちます。 痛みがあるときは、飲み薬や貼り薬、注射などで痛みのコントロールをおこないます。 痛みが落ち着いたら、関節が硬くならないように動かす必要があるのでリハビリをします。 腱板損傷での固定は状態によって1~2か月行うことがあり、スポーツをする人にとっては長い期間でしょう。 しかし20代で若いからといって無理をしてしまうと元のような動きができなくなる、肩が上がらないということになる可能性があります。 スポーツ復帰を目指すためにも、適切な治療を受け、固定期間やリハビリを専門医の指示通りに行うようにしましょう。 肩が上がらないときに考える新しい治療法とは 腱板損傷は部分的に腱板が断裂する場合と完全に断裂する場合があります。 完全断裂では痛みが強い、また、肩が上がらないという症状が続くことがあるため、手術を検討しなければならないケースもあります。 しかし手術を行う場合は治療期間が長くなり日常生活に戻るまでに数か月、スポーツ復帰をするには6か月ほどかかります。 20代でも、安静の期間が長ければ筋力が低下するのでリハビリで筋肉強化を図りますが、やはり長期間を要することになるでしょう。 そんな手術にかわる治療として、近年注目されているのが再生医療です。 再生医療は自身の細胞から培養した幹細胞を直接肩に注射することで、損傷した腱板などの細胞を修復させる治療法です。 リハビリとの併用は必要ですが、副作用が少ないこと、治療期間が短くて済むという大きなメリットがあります。 20代など若い世代で肩が上がらないというような場合は、治療期間が短くて済む再生医療はとても魅力的な治療法と言えるでしょう。 まとめ・20代なのに肩が上がらないって?五十肩にはまだ早い!その原因とは 「若いのに、なぜ20代で?」 と疑問に思う人もいるかもしれません。 そこで今回は、20代という若さでも肩が上がらなくなる原因、また、そうなってしまった場合の治療法について解説します。 肩が上がらないのは中高年の症状と思われがちですが、20代でも起こることがあります。 腱板損傷では、状態によって手術を検討しますが治療期間が長くなるケースが多いです。 そのような場合、手術にかわる治療法として再生医療があります。 特にスポーツで活躍したい20代の人にとって、治療期間を短縮し早期にスポーツ復帰を目指すことができる再生医療は、とても魅力的な治療法だと言えます。 20代で肩が上がらないなどの症状で悩んでいる方は、再生医療による治療を検討してみてはいかがでしょうか。 監修:リペアセルクリニック大阪院
最終更新日:2024.01.17 -
- 糖尿病
- 再生治療
糖尿病は治る時代になった?最新の糖尿病治療について 従来、糖尿病という病気は「治らない病気」「一生かけてつきあっていく病気」というレッテルの貼られた病気でした。 しかし、医療技術の進歩により、ついに糖尿病が治る時代を迎えるに至ったのです。 今回は、治る時代となった糖尿病の治療法について解説します。 今や糖尿病は治る時代になった そもそも、糖尿病は「治らない病気」と言われていました。 糖尿病であると診断された患者さんは、「食事療法」「運動療法」といった生活スタイルに関係する治療法を中心に、必要に応じて「薬物療法」を組み合わせて血糖値をコントロールする生活を一生にわたって続ける必要があったのです。 これらの治療法は患者さんの血糖値をコントロールすることには寄与しますが、糖尿病の根本的な原因を治療するには至りませんでした。 しかし、新しい治療法である「再生医療」は、糖尿病を根本的に治療できる可能性を秘めた治療法として注目されているのです。 再生医療とは? 「再生医療」とは、「幹細胞」と呼ばれる細胞を利用した治療法です。 「幹細胞」とは、さまざまな細胞に変化することができる細胞であり、体の中の細胞の状態に応じて損傷・不足している細胞を補う働きをしています。 そして、再生医療は幹細胞のその働きに注目し、患者さん自身では修復することが難しい体の部位(内臓や皮膚、骨など)を再生することを目的とした治療法なのです。 再生医療は、これまで「治すことの難しい病気」を治療できる可能性や、「完治までに時間がかかる病気や怪我」を短期間で治せる可能性を秘めています。 こちらも併せてご参照ください 糖尿病を再生医療で治療する 再生医療の仕組みについて理解できたところで、糖尿病の原因についてもう少し詳しく解説しておきます。 糖尿病とは、簡単に言うと「血糖値をコントロールできていない状態」のことであり、体内で血糖値を下げる働きをするホルモンは「インスリン」です。 このインスリンを分泌しているのが「すい臓」であり、厳密には「β細胞」という細胞がすい臓内でインスリンの分泌を行うのですが、糖尿病ではこのβ細胞が壊れてしまいます。 そして、従来の治療法ではβ細胞を修復することは難しく、低下した血糖値コントロール機能を生活習慣の改善や薬物治療で補うのが従来の糖尿病の治療方針でした。 一方、再生医療では、弱ったすい臓で幹細胞が働くことによって機能の改善を図る効果が期待できます。つまり、糖尿病の根本的な原因を改善できる可能性があるのです。 まとめ 糖尿病はもはや治らない病気ではなく治る時代が到来しており、糖尿病治療に悩んでいる人にとって一筋の光明であることは間違いありません。 再生医療の成果は個人差もありますので確実ではありませんが、完治には至らずとも症状の改善につながる可能性は十分に秘めています。 興味を持たれた方は、再生医療による治療も選択肢の1つとして検討してみてはいかがでしょうか。
最終更新日:2022.10.31 -
- 肩
- 腱板損傷
- 再生治療
腱板損傷の原因、症状や治療法!リハビリと手術後の復帰期間について 腱板損傷は、スポーツだけでなく日常生活の中でも起こり得るケガの1つですが、どのような治療法があるのか、手術しないと治らないのかなど気になる方も多いのではないでしょうか。 今回は、腱板損傷の原因や治療法、手術しないでも治るのかどうかについて解説します。 腱板の特徴と腱板損傷の原因や症状、治療法について 腱板損傷は手術をしないと治らないのでしょうか。 結論から言うと、腱板損傷は、手術しないで保存的な治療を行うこともありますし、手術を必要とする場合もあります。症状などによっても選択するべき治療法は変わってくるため、専門医とよく相談しましょう。 腱板とは? 腱板とは肩にあるインナーマッスルです。 肩関節が不安定だと脱臼のリスクが高くなるため、安定性が重要なのですが、腱板はその肩関節の安定性に働きかける大切な役割を果たしています。そして、肩の腱板を構成するのは「肩甲下筋腱」「棘上筋腱」「棘下筋腱」「小円筋腱」という4つの筋肉です。 この4つの筋肉が肩の骨を囲むようにくっついており、この筋肉と骨をつなぐのが腱板です。この腱板が断裂してしまうことを腱板損傷といい、一部が切れてしまうものと、完全に断裂して骨と離れてしまうものがあります。 腱板損傷の症状とは? 腱板断裂の症状は主に、痛みと腕の動かしにくさです。痛みは少し痛い程度の人もいれば、眠れないほど激痛の人、動かしたときだけ痛いという人など程度はさまざまです。 腱板損傷の原因とは? 腱板損傷の原因は、以下のようなものが挙げられます。 ▲外傷が原因となるケース 外傷によって腱板損傷が起こることがあります。転んだときに肩をぶつけてしまい、打撲だと思っていたら実は腱板が断裂していたということもあるので注意が必要です。 また、明らかに肩をぶつけていなくても、手をついた拍子に肩に負荷がかかり腱板損傷を起こすこともあります。 ▲オーバーユースとなるケース どのような関節や筋肉も、使い過ぎると負荷がかかってしまいます。それは肩も同じで、肩関節は日常生活の中でもよく使う関節のひとつなので、洗濯物を干す、荷物を運ぶなど、繰り返し行う作業や負荷の中で腱板損傷が起こることがあります。 加齢によって腱板がもろくなると、オーバーユースによる損傷リスクが高まるので要注意です。 ▲スポーツによるケース スポーツをすることによって腱板損傷が起こる場合もあります。例えば、野球のピッチャーはボールを投げる回数が多いので肩への負荷が大きく、腱板を傷つけるリスクがあることで知られています。 しかし、特定のスポーツだけに腱板損傷のリスクがあるわけではありません。どのようなスポーツでもケガをすることがあり、その際に腱板を傷つけるかもしれません。 腱板損傷の治療法 腱板損傷の場合、その治療法は、まず保存療法が行われることが多いです。断裂した腱板は自然に元に戻ることが難しいのですが、安静にすることで、それ以上損傷することを防ぎます。 痛みがある場合は痛み止めを使い、動かしにくさがある場合はリハビリを行います。それでも痛みが強くなる・腕を動かせないという場合は手術という選択を検討します。 術後は1~2か月程の固定が必要となり、完全にスポーツ復帰するには6か月程度かかるでしょう。スポーツをする人にとって、手術は腱板を元の状態に戻して肩や腕の動きが良くなることが期待できる反面、復帰までの期間が長いのがネックになります。 そんな腱板損傷の治療に注目されているのが「再生医療」です。自身の幹細胞を使って、損傷した腱板の組織を修復する方法です。 再生医療は手術と比べても副作用が少なく、早期にスポーツ復帰することが望めるというメリットがあります。そして、再生医療は、外科的な手術をしない選択肢のひとつとして、腱板損傷の治療においても期待されています。 まとめ・腱板損傷の原因、症状や治療法!リハビリと手術後の復帰期間について 腱板損傷は日常生活でも起こりうるケガです。また、外傷や肩の使いすぎで起こるスポーツ外傷の1つでもあります。近年スポーツ医療では、早期に復帰を望める方法として再生医療が期待されています。 再生医療による治療を選択することで、腱板損傷を手術しないで治すことが可能になることもあるでしょう。「再生医療」について興味がある方、なるべく手術しないで腱板損傷を直したいという方は、専門医にご相談ください。 https://youtu.be/bKupVfsXpHM?si=mN1HFLfUcyvV_ase ▶こちらの動画で詳しく解説しています。是非ご覧ください。 監修:リペアセルクリニック大阪院 こちらもご参照ください
最終更新日:2024.03.23 -
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糖尿病治療に使われるGLP-1受容体作動薬について解説|内科専門医師が配信 糖尿病の患者の方のなかにも、GLP-1受容体作動薬という薬はご存じない方もいると思います。インスリン製剤を自己注射する治療法はよく知られていますが、自己注射で投与するGLP-1受容体作動薬は最近開発されたばかりの薬だからです。 この記事ではGLP-1受容体作動薬の特徴や副作用、投与方法などを解説します。 GLP-1受容体作動薬はどんな薬? 「GLP-1受容体作動薬」について理解しやすくするために、「GLP-1」と「GLP-1受容体」、「GLP-1受容体作動」にわけて説明します。まずGLP-1ですが、これは体内に存在するホルモンの名称です。GLP-1が分泌されると膵臓が刺激され、膵臓からインスリンが分泌されます。 インスリンは血中内の糖の割合(血糖値)を減らす唯一のホルモンです。「GLP-1は血糖値を下げるホルモン」と解説されることもありますが、正しくは「GLP-1は血糖値を下げるインスリンを分泌させるホルモン」となります。 次にGLP-1受容体ですが、これはGLP-1と結合するタンパク質のことです。GLP-1は小腸から分泌されますが、GLP-1受容体は膵臓内にあります。両者の結合は膵臓内で起きます。GLP-1は、GLP-1受容体と結合することでインスリンの分泌をうながすのです GLP-1受容体作動薬は体外から注射などによって「GLP-1に似た構造の成分」を体内に投与し、膵臓のなかでGLP-1と同じ動きをさせる薬です。 GLP-1受容体作動薬の効果・特徴 GLP-1受容体作動薬は、空腹時など血糖値が低いときは作用しない特徴を持っています。つまり、GLP-1受容体作動薬は食後の血糖値が高くなったときだけ働くので、低血糖を起こしにくいのです。 インスリン製剤の場合、インスリンを直接投与するので、投与量が多すぎると血糖値が下がりすぎて低血糖を引き起こすことがあります。GLP-1受容体作動薬はそのリスクが低い薬といえます。 また、GLP-1受容体作動薬を投与すると食欲が減ることがあるので体重減少が期待できます。 代表的な副作用 GLP-1受容体作動薬の副作用には、吐き気、下痢、便秘、急性膵炎などがあります。ほかにも糖尿病の治療薬であるSU薬と併用すると低血糖を起こす可能性が高くなります。 SU薬の正式名称はスルホニル尿素薬といい、この薬もインスリンの分泌を増やす効果があります。 使用前に知っておきたい注意点 GLP-1受容体作動薬は2型糖尿病の患者の方向けの薬です。1型糖尿病の場合、そもそもインスリン分泌が不足しているので、GLP-1受容体作動薬による改善が期待できません。 一方、GLP-1受容体作動薬には併用薬に関する問題があります。それは、GLP-1受容体作動薬と併用可能な薬には保険適用できるものとできないものがあることです。 これは医療機関に対する注意点ではありますが、患者の方にも関わることですので記載しておきます。また、インスリン製剤の自己注射を使った治療を受けている患者の方がインスリン製剤をやめてGLP-1受容体作動薬に切り替えると、糖尿病ケトアシドーシスを発症することがあります。 糖尿病ケトアシドーシスは糖尿病の代謝失調の1つで、高血糖によって悪心、嘔吐、腹痛などを引き起こします。 GLP-1受容体作動薬の投与方法 GLP-1受容体作動薬の投与には注射器を使います。使用する注射器には次の3タイプがあります。 「ペン型注入器」はペンのような形状をしていて、最初から薬剤が注射器本体に注入されています。患者の方が自分で薬剤を注射器に移す必要はありません。注射針は使うたびに取り替えます。 「オートインジェクター」はペン型注入器と似ていますが、1回使い捨てである点がペン型と異なります。1回使い捨てなので患者の方が針を取り替える必要はありません。 「シリンジ」は、一般の人がイメージする注射器のことで、シリンジの先に針を取りつけ、その針を薬剤の入った容器に突き刺し薬剤をシリンジ本体に吸い込みます。 作動薬を患者の方が自分で投与する場合、ペン型やオートインジェクター型を使用することが多いです。 ただし、お持ちの注入器が故障したときのことを踏まえてシリンジ型も持っておくことをおすすめします。 投与頻度について GLP-1受容体作動薬には、1日1~2回投与するタイプと週1回投与するだけのタイプの2種類あります。 まとめ・糖尿病治療に使われるGLP-1受容体作動薬について解説 GLP-1受容体作動薬はインスリン製剤とは異なる働きをして血糖値の抑制を目指します。低血糖リスクを抑えるメリットはありますが、副作用の心配もあります。またその他の薬との組み合わせが難しい特徴があります。 したがって医師は、患者の方と相談したり注意深く経過観察してからGLP-1受容体作動薬を使うかどうか決めることになります。 監修:院長 坂本貞範
最終更新日:2022.09.21