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- 美容
- 幹細胞治療
幹細胞治療という言葉を聞いたことがあるでしょうか。実は現代の医療で最先端の、副作用などがほとんどとなくそれでいて大きな効果が期待できる治療方法なのです。この幹細胞治療はあらゆる分野で活用され始めていますが、美容の世界などでも積極的に取り入れられています。そこでここでは、幹細胞治療とはいったいどういうものなのか、そしてどのような効果が期待できるのかという点について解説して行きます。 幹細胞治療とは何か? そもそも幹細胞治療とはどのようなものなのでしょうか。 幹細胞治療とは再生医療の一種 再生医療という言葉は聞いたことがあるでしょうか。幹細胞治療とは再生医療の1つの方法です。 人間は約60兆個の細胞で構成されていますが、その細胞の中に幹細胞というものがあります。幹細胞とは、細胞分裂の元になるもので、いわば細胞の母体です。再生医療とはこの幹細胞を身体に注入することで、身体の欠落している部分を再生させたり、減少して来ている部分を補ったりする、最先端の治療法です。既存の医薬品では治療が困難な病気やケガ、あるいは治療法が確立されていない病気に対して、効果をもたらすものとして注目されています。 近年、日本人を始め人間の平均寿命は大きく伸長しましたが、同時に細胞の老化が元となっている慢性的な病気も増えており、このような病気を完全に治す治療法はまだ見つかっていません。しかし再生医療であれば、そのような今まで医師が治療をあきらめていた病気の場合でも、治療を施すことができるのです。 ただし再生医療や幹細胞治療はどのような病院、どのような医師でも行うことができるものではありません。再生医療は使い方を間違えるととんでもない悲劇を巻き起こす可能性があります。したがって、再生医療や幹細胞治療を行う場合には、その実施機関や実施方法について、法律に基づく厳しいチェックがなされます。ですから再生医療や幹細胞治療を受ける場合には、治療のための治療計画を厚生労働省に提出し、認可されている医療機関を選ぶことが非常に重要です。また再生医療や幹細胞治療を行う医師にも高い専門知識と十分な経験が必要です。この点にいても、治療を受ける場合には事前の確認が必要でしょう。 幹細胞治療とは注射で幹細胞を注入する方法 約60兆個の細胞からできあがっている人間の身体ですが、しかしその最初はたった1個の受精卵です。この受精卵が細胞分裂を繰り返し、身体のあらゆる部分の形も機能も異なった多様な細胞に成長します。皮膚、脳、心臓、手足は全く違う臓器であり身体の一部ですが、元は1個の受精卵だと思うと非常に不思議でしょう。このような細胞が多様な組織や臓器に変わっていくことを「分化」と言います。 しかし細胞には寿命があります。細胞の寿命が来ると、その細胞は分化することも、増殖することもできなくなり、やがて死んでしまいます。たとえば、皮膚から垢が出ますが、これは皮膚の細胞が死んで、身体からはがれ落ちていくことです。しかしそれでも皮膚が一定の状態を保てているのは、古い皮膚が死んでも、また新しい皮膚の細胞が補充できているからです。このような分化して完全に身体の臓器や、皮膚、や血液などに分化し終わった細胞を「体細胞」、これから多様な分化を行う細胞を「幹細胞」と言います。 幹細胞には「体性幹細胞」と、受精卵から培養して作られる「ES細胞」、人工的に作成「iPS細胞」があります。 この3つの中で現在最も再生医療に使われているものが「体性幹細胞」です。体性幹細胞は人間の身体の中にある細胞が元になっているので、使用しても身体に副作用を起こりにくく、最も治療に応用しやすいものです。さらに体性幹細胞にもいくつか種類があります。その代表的なものは「間葉系幹細胞」です。そして間葉系幹細胞の中でも、最も治療に多く用いられているのものが脂肪から抽出されたものです。これを脂肪性幹細胞とも言います。 脂肪性幹細胞は、ES細胞やiPS細胞などの幹細胞に比べ発がんのリスクが非常に低く、また身体の中から取り出すことも簡単で、患者に負担をかけないため、現在どんどん医療の最前線で使われています。 具体的に脂肪幹細胞を使った幹細胞治療はどのようなものかと言うと、聞いてしまえば意外に簡単です。それは身体の脂肪を採取し、その中の幹細胞を増やして、また身体の中に戻してやり、欠落した組織や減ってしまった細胞をそこから増やして、再生させる方法です。 このように治療行為としては非常にシンプルなので、幹細胞治療は入院の必要さえありません。基本的には日帰り治療で可能な方法です。 幹細胞治療の効果は?どのような種類がある? では幹細胞治療はどのような悩みに効果があるのでしょうか。 美容治療として 1つは美容のための治療に活用されているということです。たとえば顔のシワは顔の皮膚の奥深くにある真皮層が加齢などのために減少し、その減ってしまった真皮層の部分が、皮膚表面で凹んでしまうことによって発生します。しかし幹細胞治療は、その真皮層になるべき幹細胞を注入するので、真皮細胞が再生し、その結果シワが消えてしまうというものです。 シワを改善させる美容医療には、ボトックスやヒアルロンなどと言った、薬剤や身体の成分そのものを皮膚に注入して行う方法が今までは一般的でしたが、しかしそれらは薬剤が代謝されてしまうことで、効果が生まれている期間に上限がありました。しかし幹細胞治療であれば、そもそもの細胞の増える母体を注入してあげることなので、期間的な上限はありません。原則として、幹細胞治療を行えば、不足している、あるいは欠落している細胞が増殖していきますから、いつまで若々しい肌でいられるのです。 このように幹細胞治療は美容の世界において画期的なシワ、たるみなどの防止、改善効果をもたらすものなのです。 またボトックスにしてもコラーゲン注入にしても、何度も繰り返さなければならないため、トータルとして治療費は非常に高くなってしまいます。しかし幹細胞治療は原則として1回で済むので、トータルでの治療費も非常に安く済むのです。その意味で幹細胞治療による細胞治療による美容医療は極めてコストパフォーマンスが高いと言えるでしょう。 関節炎などの改善 主に加齢によって生じる膝などの関節炎は非常につらいものですが、これらの関節炎は関節の軟骨がすり減ったり、関節の接続をスムーズにするコラーゲンなどの成分が減少することによって起こるものなので、抜本的な治療法がない悩みでした。 しかし幹細胞治療によって、軟骨やコラーゲンの元となる幹細胞を注入できるので、関節は若いころのように再生し、嘘のようにその悩みを解消してくれるのです。 関節炎の幹細胞治療には2つの方法があります。1つは関節鏡を用いる方法で、これは関節にカメラを差し込み、患部を見ながら幹細胞を注入するものです。もう1つは注射を用いる方法で、患部に幹細胞の含まれる薬剤を注入するものです。関節鏡を用いる方法は患部に確実に幹細胞を送り届けられるので確実ですが、身体に小さな穴を開けるので、患者には多少の負担がかかり、場合によっては数日の入院が必要になります。しかし注射であれば、治療後、患者はすぐに身体を動かすことができるので、日帰りで治療を受けることが可能です。 肝炎の治療 肝炎は肝臓の一部の細胞が壊死、あるいは機能不全になっている状態です。この肝炎にも幹細胞治療を行うと、壊死している肝臓に代替する肝臓を再生させることができるので、飛躍的な改善が期待できます。ただし、肝臓の場合はカメラを挿入することも、注射で幹細胞を注入することも難しいため、方法としては点滴で幹細胞を送り込む方法になります。点滴で輸入された幹細胞は血液に乗って肝臓に到達し、壊死した肝臓や機能していない肝臓の細胞を修復し再生させます。 糖尿病の治療 糖尿病は、血液中の血糖(ブドウ糖)が多くなる病気です。これは、すい臓が何かしらの原因で本来持っている血糖値を一定範囲におさめる働きができなくなる病気です。また、糖尿病は一度発症したら完治しない病気と言われています。しかし、幹細胞治療をすることにより、すい臓が本来持つ機能を取り戻すように幹細胞が働きかけ、正常に血糖値をコントロールするようになる可能性があります。 脳の疾患の治療 今まで脳梗塞などによって機能不全になってしまった脳には効果的な治療の方法がありませんでした。しかし幹細胞治療によって、幹細胞を脳に送り込んでやれば、機能不全になっている脳細胞を再生させることができるため、脳の損傷によって起こっていたさまざまな障害を改善させることができるようになってきました。 自己免疫疾患の治療 自己免疫疾患とは、自分の細胞が暴走し身体に害を働くようになった病気で、これもまた抜本的な治療法がないものでした。たとえば膠原病や、慢性関節リウマチ、潰瘍性大腸炎、アトピー性皮膚炎、慢性甲状腺炎などがそれに当たります。できることはせいぜいステロイドなど身体に大きな副作用のある薬剤を注入して、病気の発症を抑えたり、症状を緩和させることでした。 しかし幹細胞治療によって注入される幹細胞には、身体の免疫を調節したり、過度な反応を抑制する作用があるので、このような治療方法が見つからない自己免疫疾患に対しても極めて高い治療効果が得られるようになりました。 幹細胞治療の流れは 幹細胞治療の流れは以下のようなものです。 最初に専用の器具によって、腹部など脂肪が豊富にある部位から脂肪を少量、具体的には1/1000g(米粒2つから3つ分程)という単位で採取します。採取時間は数分で、局所麻酔を使うため、痛みはほぼありません。 そして採取した脂肪から幹細胞を分離させ、培養します。 その培養した幹細胞を患部に注入します。また培養した幹細胞は冷凍保存できるので、治療を再度行いたい場合でも、その凍結している幹細胞を利用することができます。 幹細胞治療にはリスクはあるのか? このように画期的で、今まで治療が難しいと思われていた病気に大きな効果をもたらす幹細胞治療ですが、リスクはあるのでしょうか。 幹細胞治療は、自分自身の幹細胞を使用して損傷または弱ってきた組織を修復することで、痛みを無くしたり、失われた人体機能を回復させる治療です。 そのため、拒絶反応が起こりにくくリスクはほとんどありません。 まとめ いかがですか。 幹細胞治療は今まで治療が不可能だと思われていたさまざまな病気を治してくれる画期的な治療方法です。もしも上で挙げたような悩みを持っているようであれば、幹細胞治療を検討してはいかがでしょうか。
2021.01.06 -
- 再生治療
- 幹細胞治療
健康診断などで「脂肪肝」という言葉を聞いたことがあるかも人は多いと思います。しかし、何となく不健康なイメージがあると思いますが、具体的に何がどうなっているのか知っているという人は少ないのではないでしょうか。 そこで今回は、脂肪肝の数値や症状などについて解説します。 脂肪肝について詳しく知ることで、病気の発生や悪化のリスクを減らしていきましょう。 脂肪肝の数値 過去に受けたことのある健康診断(血液検査)の結果が手元にある場合は、リストに掲載されている項目の中から「AST」「ALT」という項目を探してください。 ・AST(GOT):基準値7~38IU/L ・ALT(GPT):基準値4~44IU/L 上記の数値を越えている場合、疑われる病気の1つとして「脂肪肝」が挙げられます(その他にも肝炎や肝硬変なども含まれる)。 また、脂肪肝とは直接関係しない数値ですが「BMI」という数値があり、これは肥満指数を表していてBMI≧25だと肥満であると診断されるのです。 肥満と診断された人の2~3割ほどに、脂肪肝の疑いがあるとされています。 脂肪肝の症状とは? 病気の初期症状を見極めることで予防や症状の進行を抑えるといったアクションを起こせるものですが、厄介なことに脂肪肝は初期の段階では目立った症状がないのです。 ある程度、症状が進行すると「疲れやすくなる」「ボーっとする」「腹部に違和感を覚える」などの症状を自覚することがありますが、前述の通りこれはあくまでも「症状が進行している状態」であるため、原因となっている生活習慣などの改善が難しいという側面があります。 そのため、定期的な健康診断を受けて、肝臓の数値をチェックすることが大切です。 脂肪肝の治療法と再生医療 脂肪肝の治療法としては、原因となっている生活習慣を改善することで症状の進行を抑えることができますが、現状の肝臓の状態を治療するための治療にはなりません。 肝臓の状態をそのままにすると、次第に「肝硬変」や「肝臓がん」といった状態に進行する可能性があり、場合によっては命に関わることもあります。 そこで注目されているのが「再生医療」という治療法です。 再生医療は「幹細胞」を利用することで脂肪により弱っている肝機能を改善できる可能性があります。 患者さんによって治療効果には個人差が見られますが、従来の治療法では見出すことのできなかった「弱った肝臓の再生」という可能性を見出せる再生医療は、一考の価値があると言えます。 まとめ 脂肪肝は数値から見ることができる可能性はあるものの、自覚症状は目立つものではなく、気づかないうちに症状が大きく進行している可能性があります。 健康診断をきちんと受けて、肝臓の数値をチェックし、脂肪肝になっていないか診断してもらうようにしましょう。 近年は、従来の治療法では改善することの難しかった脂肪肝の症状を、再生医療で改善する再生医療という治療法があります。個人差はありますが、肝機能の回復を図りたいのであれば、この再生医療を検討してみる価値は大いにあると言えます。
2020.07.18 -
- 再生治療
- 幹細胞治療
肝臓は切除しても、時間が経てば再生することを知っている人は多いと思います。 しかし、「肝臓は再生する」とはいっても、何割切除しても大丈夫なのかは心配なところですよね。 今回は、肝臓は何割切除しても大丈夫なのか、肝臓の再生についてご紹介します。 肝臓は切除しても再生する?何割切除できるの? 肝臓がんなどの場合、手術で肝臓を切除することもあります。その場合、肝臓は再生することで知られていますが、何割切除しても大丈夫なのでしょうか。 結論から言うと、肝臓の7割を切除しても、約2週間で元の重量に戻ることが多いです。 この再生力の高さから、肝臓の病気では切除という方法を選択できるのです。そして、この再生には肝細胞が大きく関わっています。肝細胞が細胞分裂をし、増殖することで、肝臓が元の重要まで戻ることができるのです。 肝臓が再生しない!?脂肪肝から肝硬変に! 肝臓は7割切除しても再生できますが、肝臓の病気の中でも再生できないケースも何割かあります。 再生できない肝臓の病気とは、肝硬変です。 肝硬変は、肝臓の組織が繊維化し、それが蓄積することで固くなってしまう病気です。損傷した肝臓の細胞は再生できないばかりか、本来の肝臓の機能も低下してしまいます。 そんな肝硬変はいきなり繊維化するのではなく、脂肪肝や肝炎といった病気が進展することで起こるものです。 それでは、脂肪肝や肝炎の何割が肝硬変になるのでしょうか。 まず、肝臓に脂肪が蓄積することで起こる脂肪肝ですが、肥満の人の2~3割に脂肪肝が見られます。アルコールの過剰摂取が脂肪肝の原因の多くを占めていましたが、近年食生活の欧米化によってアルコールを飲まない人の脂肪肝の割合も増加しています。 アルコールを飲まない人の脂肪肝では、1割程度の人が脂肪肝炎になり、さらに進むと肝硬変になります。またウイルス性肝炎のひとつであるC型肝炎の場合、7割が慢性肝炎となり、進行すると肝硬変になってしまいます。 肝硬変の治療には再生医療という方法もある! 脂肪肝の何割かは肝硬変に進行するため、脂肪肝のうちから治療したいという人も多いでしょう。しかし肝臓は沈黙の臓器ともいわれ、自覚症状が出ないことが多いです。そのため、脂肪肝になっていても気づかず、健診や他の病気の検査で偶然見つかったということもあります。 脂肪肝の治療は、生活習慣の見直しが重要です。食生活を改善し、アルコールを摂取する人は禁酒することが勧められます。しかし、それでも病気が進行してしまったり、発見したときにはすでに肝硬変になっていたということもあります。 肝硬変になると肝臓は元の状態に戻ることが難しいです。そんな肝硬変の治療として注目されているのが再生医療です。自己由来幹細胞を用いた再生医療では、静脈注射を用いて幹細胞を肝臓に送り届けます。 幹細胞が傷ついた細胞を見つけ、繊維化した組織を溶解・修復させてくれます。これによって、肝硬変の状態から元の肝臓に戻すことが期待されているのです。 まとめ 肝臓は再生できる臓器として知られていますが、肝臓に疾患をお持ちの患者さんのうち、何割かは再生できない状態になってしまうことがあります。 肝硬変になると元の状態に再生することが難しいです。脂肪肝の何割かは肝硬変に進行するため、脂肪肝のうちに食生活の改善をしていきたいところです。しかしそれでも肝硬変になった場合は、幹細胞を用いた再生医療という方法もあります。 肝硬変の治療法として、再生医療を検討してみることができる時代になっているのです!
2020.07.09 -
- 再生治療
- 幹細胞治療
美容や健康のためにサプリを飲んだことがある人は多いと思います。お酒を飲むときにアルコールの代謝を良くするためにサプリを飲んだ経験がある人もいるでしょう。 しかし、サプリの取り過ぎは逆効果になることがあるのをご存じでしょうか。肝臓が再生できない状態になってしまう危険もあります! 今回は肝臓とサプリの関係をご紹介します。 サプリで肝臓は再生する?肝臓とサプリの関係とは? 肝臓は再生機能に優れた臓器ですが、結論から言うと、再生が促進されるサプリはありません。むしろ過剰摂取は肝臓に悪影響を与えることもあるのです。 身体にいいといわれるサプリは世の中にたくさんあります。 アルコールの分解を助ける、疲れを解消する、健康増進、代謝を良くするといった説明を読んで、サプリを飲んだ経験のある人もいるでしょう。 肝臓には、大きくわけて代謝・解毒分解・胆汁の生成・免疫といった機能があります。私たちが口にした食べ物は胃や腸が消化・吸収し、残ったエネルギーは肝臓に貯留されます。また、薬物やアルコールのような有害物質は肝臓で解毒されて体外に排出されるのです。 これらの機能にはサプリの摂取も関わります。サプリは食べ物だけで摂ることができない栄養を摂取したり、足りない栄養を補うのに使われます。これらは肝臓で代謝されるため、サプリの摂取は肝臓に影響を及ぼします。 肝臓にいいといわれるサプリが逆効果になることも!? サプリは薬剤と同じく肝臓で解毒・分解されますが、これが過剰になれば肝臓の負担が大きくなります。薬剤によって起こる肝臓の病気に薬剤性肝障害というものがありますが、健康食品などサプリの取り過ぎで引き起こされた事例もあります。 そして、アルコールの分解を助けるサプリを飲めばアルコールをたくさん飲んでも大丈夫というわけではありません。それに過信して過剰飲酒をすれば、もちろん肝臓に負担をかけることになります。 また、すでに肝炎や脂肪肝のような肝臓の病気がある人もサプリには気を付けてください。 炎症が起きている状態や脂肪が蓄積して肝機能が低下している状態で、さらに肝臓に負担をかけてしまうからです。 肝炎や脂肪肝、薬剤性肝障害は進行すると重篤な状態に陥ることもあります。肝臓が再生しない肝硬変に進展することもあるのです。 肝臓の治療にはサプリではなく再生医療という選択肢! 肝炎や脂肪肝が進展すると、肝硬変という状態になることがあります。肝硬変は組織が繊維化して肝臓が固くなった状態で、肝臓は本来の機能を発揮できないばかりか再生することも難しくなります。 そのような状態でサプリを摂取すると、肝臓の負担になります。肝臓に再生機能を取り戻そうと思っても、サプリでは再生させることはできません。どうしても摂取したいものがある場合は、まず主治医に相談してみてください。 元の状態に戻るのが難しい肝硬変ですが、近年再生医療という方法が注目されています。自己由来幹細胞を肝臓に送り届け、繊維化した組織を溶解・修復させるというものです。肝臓が元の機能を取り戻すことが期待できるでしょう。 まとめ 肝臓は人体最大の代謝機能で、薬物やアルコールなどの有害物質を解毒・分解する役割を果たします。 体にいいとされるサプリは、飲みすぎによって肝臓に負担をかけ、肝障害を起こすリスクもあります。 肝臓が再生できない肝硬変では、サプリの代謝が難しくなるため医師に相談してください。 肝硬変の治療では再生医療という方法があり、肝臓を修復させて元の機能を取り戻す効果を期待できます。再生医療による治療を検討してみてはいかがでしょうか。
2020.07.08 -
- 幹細胞治療
再生機能に優れた肝臓ですが、その機能が発揮できない状態になることもあります。 そのようなときに検討したい治療が「再生医療」です。 今回は、肝臓の機能を取り戻す再生治療についてご紹介します。 肝細胞を活性化!再生治療とはどのようなもの? 近年、さまざまな病気や傷害の治療に再生治療が期待されるようになりました。再生治療とは、何らかの原因で傷ついた体の組織を再生させて、元の状態に戻すことを目的としているものです。 痛みに対して痛み止めを用いる対症療法や、傷ついた部分を取り除く手術とは異なる新たな方法で、再生治療で用いるのは薬剤ではなく、生きた細胞です。 具体的には、自分の体から採取・抽出した幹細胞を用います。その幹細胞は、さまざまな細胞に分化し、損傷した細胞を活性化させる可能性を持っているのです。 再生治療で幹細胞を用いることができる臓器のひとつが肝臓です。肝臓は再生能力に優れていることで知られていますが、その役割を担っているのが肝細胞です。幹細胞は、そんな肝細胞が傷ついたときにも再生治療で活性化させることが期待されています。 肝硬変は怖い病気? 沈黙の臓器とも言われる肝臓は、病気が潜んでいても自覚症状がないことが多いです。そのため、自覚症状が現れたときにはすでに病気が進行していることもあるのです。病気が進行した状態の肝臓は、本来の肝臓の機能を果たすことができないばかりか、再生能力も期待できないこともあります。 その代表的な病気のひとつが肝硬変です。肝臓が炎症を起こした状態の肝炎や、肝臓に脂肪が蓄積した脂肪肝が進行すると、肝硬変という状態になることがあります。肝硬変は、肝細胞などの組織が繊維化して肝臓が固くなった状態です。肝硬変の他に、肝細胞がんといった命に関わるような重大な病気に進展する場合もあります。 肝硬変になると、全身のだるさや黄疸といった症状が出現します。さらに進行すると、腹水や腹部静脈瘤が出てくることもあります。肝性脳症のような命に関わることもある危険な病気なのです。 肝硬変の恐ろしいところは、一度繊維化した肝臓は自然に修復することができないということです。肝細胞も本来の働きをすることができません。 肝細胞の修復も!肝硬変の治療に再生医療という選択肢 繊維化した肝臓や損傷した肝細胞は、自然に元の状態に戻ることができなくなります。しかし、肝硬変が進行すると命に関わることもあるので、治療法を知りたいですね。 近年注目されているのが再生治療です。自己由来幹細胞を静脈注射し、傷ついた肝臓に送り届けます。そして幹細胞が繊維化した組織を溶解・修復させてくれるのです。損傷した肝細胞も、幹細胞によって修復・活性化することが期待できるでしょう。 まとめ 肝臓は再生能力に優れるものの、組織が繊維化してしまうと本来の再生機能を発揮することができません。そのような肝臓の治療として注目されるのが再生治療です。治療効果には個人差がありますが、幹細胞が繊維化した組織を溶解し、損傷した肝細胞の修復が期待できます。
2020.06.27 -
- ひざ
- 幹細胞治療
身体の関節を柔らかくし、全身を滑らかに動かして踊るバレエですが、関節で音がなるという経験はありますか?バレエをしていない人でも立ち上がりの時などにポキッと音がなることがあります。 今回は、バレエなどのダンスをされていて股関節から音がなるという方の原因やリスク、治療法をみていきましょう。 バレエで股関節から音がなる!原因は? バレエで90度以上に足を上げようとすると股関節から「ポキッ」と音がなるという経験がある方は、一定数いると思います。 この音の原因ですが「弾発股」というスポーツ障害である可能性があります。音は、筋肉や腱が骨の上で動くときにこすれることにより生じます。 主に原因動作は、股関節を屈曲させ、腸脛靭帯という太い靭帯が大転子の上を通る時です。 初めは、痛みはなく音が鳴るのみの症状であることがほとんどです。 しかし、次第に股関節外側で炎症を引き起こし痛みが生じるようになっていきます。股関節にひっかかりを感じる症状がでるのが、股関節唇、軟骨損傷です。 その他、先天性股関節脱臼や変形性股関節症なども可能性があります。 痛くはないから放っておこうは絶対ダメ! 先述した通り、放っておくと炎症が起こり痛みを生じるようになってきます。 弾発股は、股関節の周りの筋肉や腱が固くなることでおこります。なりやすい人は、バレエをしている方など股関節を屈曲する機会が多い人がほとんどです。 そのため、一般人が立ち上がりの際に音がなるのとは大きく違います。 病気が隠れている可能性もあることから、一度受診して診断してもらうのが良いでしょう。 診断方法としては病気の鑑別のために画像検査が主です。痛みは伴いません。 治療法はどのようなものがある? 痛みがなければ治療の必要はありませんが、保存療法として練習量を少なくしたり、アイシングを行ったり、理学療法、炎症があればステロイドの投与などが行われます。 弾発股で、保存療法が効かない場合は手術療法が選択されます。観血的・関節鏡下での腸脛靭帯の一部切除です。股関節唇損傷・変形性股関節症でも手術療法が適応されます。 関節鏡下での手術は難易度が高く、手術可能な医師も少ないのが現状です。 再生医療では、臓器や皮膚、骨や筋肉になり得る幹細胞を利用した治療が可能です。 自分の幹細胞を使用することから副作用が少ないのが特徴であり、身体がダメージを受けている部分の再生を期待できます。 幹細胞の採取は、腹部から少量の脂肪を採取するのみです。 培養環境も厚生労働大臣の許可を得た国内トップレベルで管理されており安心です。 まとめ バレエで股関節から音がするときの原因について紹介しました。 バレエやダンス、スポーツをされている方は特有のスポーツ障害を負う可能性が高いです。 股関節を動かす際に音がするという症状をそのままにしておくと、生活に支障をきたすようになる可能性があります。少しのことでも自分の身体の異常には向き合うようにしましょう。
2020.06.25 -
- ひざ
- 幹細胞治療
年齢とともに膝の痛みを感じるという人も多いのではないでしょうか。スポーツ外傷で見られることも多い半月板損傷ですが、加齢によって起こることもあります。 例えば、膝が痛いなと思っていたら半月板損傷だった…という人もいます。 今回は、そんな半月板損傷の痛みの原因と痛みに対する治療法をご紹介します。 半月板損傷で膝の痛みが起こる原因とは? 人は歩くだけでも膝関節に大きな負荷をかけることになるため、膝関節は多くの組織で構成され、関節を守る仕組みになっています。その中のひとつが半月板という板状の組織です。 半月板は膝関節の内側と外側にそれぞれ存在します。周囲には軟骨や靭帯、腱といった組織がありそれらを安定させる役割を果たしているのです。 そんな半月板ですが、強い衝撃や突然の負荷によって傷ついてしまうことがあります。これが半月板損傷です。そして、半月板は一度損傷すると自然に元の状態に戻ることはほとんどありません。 半月板損傷が起こると、症状として膝の痛みが出てきます。特に、膝の曲げ伸ばしなど動かしたときに痛くなることが多いです。 そんな痛みの原因ですが、痛みを発しているのは半月板ではありません。 痛みの原因は大きくわけて「筋収縮」と「炎症」です。 半月板損傷の痛みの原因:筋収縮 半月板損傷が起こるような強い衝撃や負荷がかかったとき、多くの場合周辺の腱や靭帯にも負荷がかかります。それらを守ろうとして筋肉が収縮するのです。組織を守るための防御反応なのですが、これが痛みの原因となってしまいます。 半月板損傷の痛みの原因:炎症 半月板が損傷すると傷ついた組織を修復しようと体が反応します。修復するための反応が炎症なのですが、これが痛みの原因にもなるのです。膝の炎症が起こると、膝が腫れたり水が溜まったりすることもあります。 半月板損傷の治療とは?再生医療という選択肢も! 半月板損傷の治療は保存療法か手術がメインです。保存療法では、痛みに対して痛み止めを使用します。また、抗炎症剤を用いて炎症を鎮めることもあります。炎症が原因で痛みが出ている場合は、炎症が収まれば痛みも落ち着いてくることが多いです。 それでも痛みが強くなる、ロッキングの状態になるという場合は手術を検討します。半月板を縫い合わせる方法と、断裂した半月板を取り除く方法があります。しかし、手術となれば治療やリハビリの期間が長くなります。手術自体が不安という人もいるでしょう。 そんな半月板損傷の治療に、再生医療という選択肢が注目されています。自身の脂肪から採取・抽出した肝細胞を膝に直接注射するという方法です。傷ついた半月板を修復し、痛みや炎症を抑える効果が期待できます。 半月板損傷の痛みの原因に幹細胞が直接アプローチしてくれる治療法なのです。 まとめ 今回は半月板損傷の痛みの原因についてご紹介しました。痛みの原因は損傷したときの衝撃による筋収縮や、炎症です。 再生医療では、自身の幹細胞が痛みや炎症を抑えるだけでなく、損傷した半月板の修復も期待されています。ぜひ、治療の選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。
2020.06.07 -
- 幹細胞治療
肝臓の病気の中でも患者数の多いウイルス性肝炎。肝臓の病気と聞くと恐いという印象を持つ人もいるでしょう。そんな中ウイルス性肝炎ですが、どのような感染対策をすればいいのでしょうか。今回はウイルス性肝炎の感染対策や予防についてご紹介します。 ウイルス性肝炎の対策とは?経口感染の対策 ウイルス性肝炎とは、肝臓がウイルスに感染して炎症を起こした状態で、予防には感染対策が大切です。 感染経路は大きく分けて「経口感染」と「血行感染」の2種類です。経口感染はウイルスを口にすることで感染するもので、A型とE型肝炎がこれにあたります。A型肝炎を引き起こすウイルスは貝に付着していることが多いです。 A型ウイルス性肝炎は衛生環境のいい日本ではあまり発生せず、海外旅行での食事で感染する事例が多いです。また、ウイルスは便の中にも含まれるため、気付かないうちに便に触れてしまうことも感染リスクになります。 海外旅行の前にワクチンを接種する、食事の前の手洗いをするなどが、主な感染対策となります。 B型肝炎とC型肝炎の対策とは? 慢性化するリスクがあることで知られるB型・C型肝炎は、血液や体液を介してウイルスが体内に侵入することで感染します。 B型肝炎は針刺し事故や性交渉が感染の原因となることがあります。 以前はB型肝炎ウイルスに感染した母親が出産するときに赤ちゃんに感染する「垂直感染」の事例が多いとされていました。しかし、1986年から母子感染予防プログラムが始まり、母子感染はほとんど見られないようになっています。 感染対策として、ウイルスを持っているかどうかも検査も行われています。 C型肝炎は、輸血や血液製剤での感染例が多いのが特徴です。血液に直接触れることが一番のリスクであり、B型肝炎のような性交渉や母子感染は少ないとされています。 B型・C型のどちらも、ウイルスを持っている人の血液に接触しないことが感染対策になるでしょう。医療従事者の場合は、針刺し事故を起こしたらすぐに検査をすることが重要です。 医療現場で針の使いまわしや、血液製剤からの感染が問題となっていました。しかし感染対策が講じられ医療環境が整えられたことで、これらによる感染はほとんど見られなくなっています。 日常生活で感染するリスクは低いものの、気を付けておきたい点はあります。 ・入れ墨やピアスをするときは清潔な器具で行う ・他人の血液を素手で触らない(自分の皮膚に傷があるときは要注意) ・血液が付着する可能性のあるものを他人と共有しない(歯ブラシ、かみそりなど) ・コンドームを正しく使用する(B型肝炎は性交渉での感染が多い) ウイルス性肝炎が肝硬変に…対策はできる? ウイルス性肝炎が慢性化すると、肝硬変や肝臓がんを合併するリスクがあります。 そうならないようにするための対策は、検査で陽性となったら受診をすることと、必要に応じた治療を続けることです。 そのままにしておくと、知らないうちに肝硬変になっていたという場合もあるのです。肝硬変は、肝細胞が繊維化して肝臓が固くなる病気です。そうなると肝臓は自然に元の状態に戻ることができなくなります。 そんな肝硬変に近年注目されているのが再生医療です。自己由来幹細胞を静脈注射で肝臓に届けます。幹細胞が、繊維化した肝細胞を溶解・修復してくれるので、肝臓が元の機能を取り戻すことが期待できるのです。 まとめ ウイルス性肝炎には経口感染と血行感染があります。慢性化することで知られるB型・C型肝炎の感染は、他人の血液に触れないことで対策ができます。 慢性化しないための対策も重要ですが、それでも慢性化し肝硬変を合併してしまうこともあります。 再生医療は、自己由来幹細胞を用いて肝臓が元の機能を取り戻すことを期待できる治療法です。
2020.05.25 -
- 幹細胞治療
肝臓の病気の中でも多くを占めるウイルス性肝炎。この病気の名前を聞いたことがある人は、多いのではないでしょうか。今回はウイルス性肝炎とはどのような病気なのか詳しくご紹介します。 ウイルス性肝炎とは? ウイルス性肝炎とは、ウイルスが肝臓に感染し炎症を起こす病気です。A型・B型・C型・D型・E型があり、そのうちD型ウイルス性肝炎は、日本ではほとんど存在していません。 感染して初めて起こる炎症を「急性肝炎」、炎症が続いている時を「慢性肝炎」といいます。 感染してから発症するまでに潜伏期間が数週間ある場合が多いのですが、その間無症状でも肝臓の中で感染が広がっていきます。そのため、急性肝炎を発症したときには、既に重症化していることもある病気なのです。 また、ウイルス性肝炎で肝臓が炎症した状態が続くと肝細胞が破壊されてしまいます。そうなると、慢性肝炎から肝硬変や肝臓がんを合併するリスクもあります。 B型とC型は特に慢性しやすいウイルス性肝炎として知られています。 ウイルス性肝炎の感染経路とは? それぞれのウイルス性肝炎の感染経路とはどのようなものかを見ていきましょう。 A型ウイルス性肝炎 ウイルスが口に入ることで感染します。貝類での感染が多いといわれていますが、衛生状態のいい日本ではあまり多くありません。海外で飲食した際に感染したという事例があります。 B型ウイルス性肝炎 B型肝炎は、血液や体液から感染することで知られています。輸血・刺青・針刺し事故・注射器の使いまわしで感染リスクがあります。 また、B型ウイルス性肝炎は母親が感染している場合、出産のときに赤ちゃんへの感染リスクがあります。 しかし日本ではB型ウイルス性肝炎の対策としてワクチンが登場し、母子感染対策も広く知られるようになりました。 そのため、母子感染の例はほとんど見られなくなっています。 C型ウイルス性肝炎 こちらもB型と同じく感染者の血液から感染します。 輸液や血液製剤からの感染が報告されているのが特徴です。B型と同じく母子感染や刺青などでも感染リスクがあります。 また、B型C型ともに性行為で感染することもあります。出血を伴う性行為だけでなく、体内にいるウイルス量が多い場合は体液だけでも危険とされています。 E型ウイルス性肝炎 A型と同じく経口感染です。以前は発展途上国で多く見られたのですが、近年日本でも増加しています。 ウイルス性肝炎で合併する肝硬変と治療法 慢性化しやすいB型・C型肝炎の治療では、慢性化して肝硬変や肝臓がんを合併しないようにすることを目標にします。抗ウイルス薬を使ってウイルスを排除するという治療法です。 しかし、それでも慢性肝炎となり肝硬変を合併することもあります。 肝硬変とは肝細胞が繊維化して肝臓が硬くなってしまう病気です。 肝臓が本来の働きを発揮することができなくなってしまいます。 肝硬変の怖いところは、一度硬くなった肝臓は自然に元に戻ることがないということです。 そんな肝硬変の治療として近年再生医療が注目されています。 自己由来幹細胞を静脈点滴で肝臓に送り届けるという方法です。幹細胞が繊維化した肝細胞を溶解・修復することで、本来の肝臓の機能を取り戻すことが期待されるのです。 まとめ ウイルス性肝炎とは、ウイルスが肝臓に感染し炎症が起こる病気です。慢性肝炎から肝硬変や肝臓がんを合併することもあります。繊維化して硬くなった肝臓は、本来の機能を発揮することができません。 そんな肝硬変の治療に再生医療が注目されています。自己由来幹細胞が繊維化した肝細胞を溶解・修復することで元の機能を取り戻すことが期待できるでしょう。
2020.05.14 -
- 幹細胞治療
肝臓の病気のひとつであるウイルス性肝炎ですが、どのような治療をおこなうのでしょうか。 慢性化すると、場合によっては命に関わるウイルス性肝炎。今回はそんなウイルス性肝炎の治療についてご紹介します。 ウイルス性肝炎の治療法は? ウイルス性肝炎にはA・B・C・D・E型がありますが、D型は日本ではほとんど見られません。 一方、A型とE型は経口感染といってウイルスを口にすることで感染してしまいます。 そして、感染した場合、急性ウイルス性肝炎を引き起こし、治療は対症療法がメインになります。 慢性化しやすいのはB型とC型 慢性化することで知られるB型・C型肝炎の治療についてみていきましょう。 どちらの治療も、肝臓のウイルスを排除して慢性化しないようにするのが治療の大きな目的になります。 2014年頃まではウイルス性か肝炎の治療にはインターフェロンが使われることがほとんどでした。しかし、インターフェロンはウイルスを排除する力が強い半面、副作用に苦しむ患者さんも多くいました。そして、治療を中断せざるを得ない人までいたのです。 その後はインターフェロンを使わない治療が選択されるようになりました。 しかし、治療を続けても肝臓の炎症が続き慢性肝炎に移行する場合もあるのが現実です。 ウイルス性肝炎が慢性化するとどうなるの? 慢性肝炎になりやすいといわれるB型肝炎とC型肝炎は、慢性化するとどうなるのでしょうか。 肝臓に炎症が続くため、徐々に肝細胞が破壊されていきます。さらにその状態が続けば肝硬変や肝臓がんを合併することもあります。 肝臓は沈黙の臓器といわれ、はっきりとした自覚症状がないまま病気が進行してしまうことがあります。そのため、治療の中断はせず継続して経過を見ていく必要があるのです。 肝硬変とは、肝細胞が繊維化して肝臓が固くなった状態です。 肝硬変になると、代謝などの肝臓の機能が上手く働かなくなってしまいます。肝細胞は繊維化すると自然に元に戻ることはありません。 ウイルス性肝炎の治療で慢性化を防ぎたいのは、肝臓が固くなってしまうのを阻止したいからなのです。 ウイルス性肝炎から肝硬変を合併したら再生医療という選択肢も ウイルス性肝炎の治療をしても、慢性肝炎になることがあり、慢性肝炎から肝硬変や肝臓がんを合併することもあります。 肝硬変になるとこれまでの治療法では繊維化した肝細胞を元の状態に戻すことは困難でした。 しかし、近年そんな肝硬変の治療に再生医療という選択肢が注目されています。 自己由来幹細胞を静脈注射(点滴)で肝臓まで届ける方法で、肝臓に直接注射することはできないので、血液の流れを用いた治療法になります。 自己由来幹細胞は、繊維化した肝細胞を溶解させてくれます。 これまでの治療ではできなかった、繊維化した肝細胞を修復することが可能になったのです。固くなった肝臓が修復されると、肝臓本来の働きを取り戻すことが期待できるでしょう。 再生医療で用いるのは自身の体から採取した細胞です。そのため、副作用の心配が少なくて済むというのもメリットのひとつです。 まとめ ウイルス性肝炎の治療では、慢性化しないように抗ウイルス薬を用いてウイルスを排除します。しかし慢性化して肝臓の炎症が続くと肝硬変や肝臓がんを合併することもあります。 近年注目を集めている再生医療は、繊維化して固くなった幹細胞を溶解・修復することで肝臓本来の働きを取り戻すことが期待できる治療法です。
2020.05.10 -
- 糖尿病
- 再生治療
- 幹細胞治療
糖尿病治療にはさまざまな方法がありますが、薬物療法の一種に「インスリン注射」があります。 「一生、治らない病気」と呼ばれる糖尿病の患者さんは、このインスリン注射をやめることはできないのでしょうか? 今回は、糖尿病のインスリン注射をやめる方法について解説します。 こちらも併せてご参照ください 糖尿病患者がインスリン注射をやめるには? 糖尿病患者さんが必要とする治療法は、大きく分けて以下の3種類です。 ・食事療法(食事制限により糖質やエネルギー摂取量をコントロールする) ・運動療法(運動により血糖の消費やインスリンの働きをコントロールする) ・薬物療法(薬物により血糖値の状態をコントロールする) このうち「インスリン注射」は、「薬物療法」に属します。 一般的な糖尿病治療は、「食事療法」と「運動療法」をベースに、それでも血糖値をコントロールできない場合に薬物療法が併用されることが多いです。 つまり、薬物療法を併用していた患者さんでも、治療の結果により血糖値の状態が改善されれば薬物療法を中断し、食事療法と運動療法で血糖値をコントロールするスタイルに移行できる可能性があります。 糖尿病患者さんがインスリン注射をやめるためには、薬物療法に頼らなくても良いと診断されるレベルまで治療を進めなければなりません。 誰もが薬物療法をやめることができるわけではない 糖尿病患者さんのすべてが薬物療法をやめることができるわけではありません。 例えば、糖尿病治療には「運動療法」が重要なポイントの1つとなりますが、年齢や身体機能の関係で治療に十分な運動をできない場合もあります。 また、合併症などの関係で糖尿病が重症化し、治療がなかなか奏功しないケースもあるでしょう。 このように、患者さんによっては食事療法と運動療法だけで十分に血糖値をコントロールできるレベルまで症状が改善しない場合もあり、その場合は飲み薬やインスリン注射を利用しなければならないのです。 インスリン注射をやめる治療法「再生医療」の可能性 糖尿病の治療法の1つとして、「再生医療」に注目が集まっています。 再生医療は、壊れた組織(細胞)を修復する機能を持った「幹細胞」の働きを利用し、体の自己再生機能を促進することでさまざまな病気・怪我の治療に役立つ可能性が注目されています。 糖尿病もその1つであり、糖尿病に深く関係する「すい臓」の機能を修復することでインスリンの働きを改善し、インスリン注射をやめるのに十分なレベルまで症状を改善できる可能性があるのです。 まとめ 再生医療の成果は個人差があるので一概には言えませんが、糖尿病の症状が改善することで治療方針を大幅に変化させられる可能性を秘めていることは間違いありません。 インスリン注射をやめるためには症状の改善が必要不可欠です。再生医療による治療を検討してみてはいかがでしょうか。 糖尿病について詳しく知りたい方は、こちらもご覧ください。
2020.03.05 -
- ひざ
- 再生治療
- 幹細胞治療
半月板損傷の代表的な治療は手術です。 手術で改善すると言われても、やはりデメリットを考えてしまう人も多いのではないでしょうか。 今回は半月板損傷の手術におけるデメリットをご紹介します。 手術にはデメリットもある!?半月板損傷とはどのようなものか まずは半月板損傷についてお伝えします。 半月板とは膝関節にある軟骨で、C型をした板状のものです。 膝の内側と外側に1つずつあり、関節のクッション性を高める役割を担っています。 そんな半月板ですが、ジャンプやターンなどの動きや急激な衝撃で損傷することがあります。 それが半月板損傷です。 半月板損傷を起こすと、歩く時の痛み、膝の引っかかり感、腫れ、膝が曲がりにくいといった症状が出現します。 半月板損傷の治療は、手術以外に保存療法とリハビリで様子を見ることがあります。 しかし症状がひどくなったり、断裂した半月板の一部が関節に挟み込むことが繰り返される場合には手術を検討することになります。 半月板損傷の手術の方法とデメリットとは 半月板損傷の手術は関節鏡を使うことが多く、傷が小さくて済み、体への負担が比較的少ないという特徴があります。 しかし、体の一部を切るわけですから、手術のデメリットも気になるところですよね。 半月板損傷の手術には、どんなデメリット、リスクがあるのか解説します。 感染リスク 頻度としては高くありませんが、傷口に細菌が入り感染するリスクがあります。 感染すると膝が腫れたり、熱が出たりします。 感染の治療を行うことになるので、術後のリハビリが遅くなるのもデメリットになるでしょう。 知覚鈍麻 手術の時に皮膚の表面にある知覚神経を傷つけてしまうリスクがあります。 そうなると、術後に皮膚の知覚が鈍くなる恐れがあるのです。 これによって関節の動きが悪くなるわけではありませんが、手術のデメリットとして知っておくといいでしょう。 治療期間が長くなる 手術にかかる時間はそれほど長くはないのですが、手術の後のリハビリ期間が長期になります。 断裂した半月板を縫い合わせたからといって、すぐにもとのように動くことができるわけではありません。 すぐに膝に負荷をかけると再断裂が起こるリスクが高いので要注意です。 また、半月板損傷の手術の後、もとの日常生活に戻るまでに数か月、スポーツ復帰するまでには6か月程度かかりるのが一般的なので、早期にスポーツ復帰したい人にとっては、この治療期間はデメリットになるのではないでしょうか。 手術のデメリットをカバーできる!?半月板損傷の新しい治療法とは 半月板損傷の治療には外科的な手術を検討するのが一般的でした。 しかし手術にはデメリットもあるので躊躇する人もいると思います。 そこで注目されているのが、半月板損傷を外科的な手術ではなく再生医療で治すという方法です。 再生医療では、自身の細胞から採取して培養した幹細胞を膝に注射します。 その幹細胞が損傷した半月板を修復してくれるのです。 また、幹細胞が膝の炎症を抑えて痛みを軽減させてくれます。 再生医療は自身の幹細胞を用いるので副作用が少なくてすみ、治療期間も手術よりも短くなるメリットがあります。 まとめ 半月板損傷の手術には感染のリスクなどのデメリットもあります。 しかし、近年は手術に代わる治療として再生医療が注目されています。 副作用が少なく治療期間を短縮できる再生医療なら、早期にスポーツ復帰できる可能性が高くなります。 半月板損傷で悩んでいる方、半月板損傷の手術におけるデメリットが気になる方は、再生医療による治療を検討してみてはいかがでしょうか。
2020.02.29