糖尿病の検査指標|5つのコントロール指標とは

2021.08.23

カテゴリー: 糖尿病

糖尿病と診断されるまでには、複数の検査が行われることがあります。それぞれの検査で糖尿病と診断される指標には、一体どのようなものがあるのでしょうか。

また、血糖値をはじめとする指標において、正常値と糖尿病型判定ではどれくらいの差があるものなのでしょうか。

医療機関で糖尿病の疑いがあると診断された方や、糖尿病予備軍と診断された方へ向けて、糖尿病の検査指標について紹介していきます。

糖尿病の検査指標

糖尿病の診断に用いられる主な検査方法には、採血による血糖値の検査、採血によるグリコヘモグロビン検査(HbA1c)、尿糖検査が挙げられます。

血糖値の検査では、血液中のブドウ糖の濃度を調べます。食後は血糖値が高くなりやすいため、空腹時または食後に血糖値の測定を行います。

測定の結果からはっきりと判断できない場合は、ブドウ糖を摂取し高血糖状態としたうえで、経過時間ごとの血糖値を検査するブドウ糖負荷試験も行います。

グリコヘモグロビン検査(HbA1c)は、血液中のグリコヘモグロビンの状態を調べることで、過去1~2カ月間の平均的な血糖値を明らかにする検査です。

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糖尿病と診断されるHbA1cと血糖値とは|目標値も解説

血糖コントロールの状態が評価されます。

尿糖検査は、尿に含まれるブドウ糖の割合を調べます。糖尿病の治療効果を確認することはできますが、軽度の糖尿病では尿からブドウ糖は検出されないため、糖尿病を発見する目的では一般的に用いられない検査です。

糖尿病と診断される指標

糖尿病の検査を通じ、いずれかの検査値が基準値を鵜阿波回った場合に糖尿病型と判定され、さらに典型的な糖尿病の症状が見られる場合や、糖尿病網膜症が現れている場合には糖尿病と診断されます。

たとえば、血糖値の検査とグリコヘモグロビン検査の両方で糖尿病型の判定が出た場合は、糖尿病と判断されます。どちらか一方のみが糖尿病型と診断された場合は再検査を行います。

●正常型・糖尿病型の指標

糖尿病の検査指標|5つのコントロール指標とは

糖尿病のコントロール指標

糖尿病の検査指標|5つのコントロール指標とは

糖尿病を改善するために、どれくらいの数値を目指すべきなのか。各検査値のコントロール指標を紹介します。

ただし、実際に治療の目標となる数値は、年齢・罹患期間・臓器障害・低血糖のリスクなどを考慮したうえで設定されます。また、これらの指標は妊娠中の女性には該当されません。

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糖尿病の血糖値と関係|正常値と目標値を把握しよう

コントロール指標におけるHbA1c値

糖尿病治療で血糖値の正常化を目指す場合、グリコヘモグロビン検査の目標値は6.0%未満となります。

食事療法や運動療法のみで目標達成が可能な方や、薬物療法で副作用の心配がない方が、こちらの目標値に該当します。

一方、糖尿病の合併症を予防することが目的であれば、7.0%未満を目指します。

また、薬物療法による低血糖など副作用のリスクが懸念され、治療の強化が難しい場合は、8.0%未満を目標としてコントロールが行われます。

コントロール指標における血糖値

血糖値が空腹時100mg/dL未満、食後2時間120mg/dL未満の方は、コントロール指標のうちで評価がもっとも高い「excellent(優)」に該当します。

空腹時血糖値100~119mg/dL、食後2時間120~169mg/dLの場合は、「good(良)」と評価されます。

空腹時血糖120~139mg/dL未満、食後2時間170~199mg/dLの方の状態は「fair(可)」です。

なお、空腹時血糖値には異常がないにもかかわらず、食後血糖値が高い状態が続く傾向であれば、食後高血糖のタイプであることが疑われます。

血糖値と併せてHbA1c値も確認が必要です。

コントロール指標における体重

肥満はさまざまな病気の原因となり、糖尿病や合併症のリスクを高めます。身長と体重から算出した「BMI」の数値が25を超えている場合は、すでに肥満の状態にあるため注意しなければいけません。

BMIは下記の計算式で求められます。

BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)

すでに肥満の状態にある方は、まずは25以下を目標に体重管理を行います。

もっとも長命で有病率が少ない数値はBMI22であるため、最終的には20~24を目指すことが理想です。

コントロール指標における血圧

糖尿病患者のうち4~6割は高血圧といわれています。糖尿病による高血糖やインスリン抵抗性で体液や血液の量が増えると、血圧が高くなるためです。

コントロール指標では、収縮期血圧 130mmHg未満、拡張期血圧85mmHg未満を目指します。

コントロール指標における血清脂質

血清脂質の数値は、血液中の脂肪の濃度を表します。糖尿病を含む、動脈硬化を引き起こす病気にかかっている場合は、特にコントロールの必要性が高まります。

糖尿病治療では、総コレステロールが200mg/dL未満、早朝空腹時の中性脂肪が150mg/dL未満、HDL-コレステロールが40mg/dL以上、LDL-コレステロールが120mg/dL未満を目指しましょう。

まとめ

糖尿病の診断には、複数の検査方法が用いられています。糖尿病を発見するための検査として、主に血糖値の検査やグリコヘモグロビン検査(HbA1c)が行われ、両方で糖尿病型と判定が出た場合には、糖尿病と診断されます。

糖尿病を改善するためのコントロール指標では、HbA1c値・血糖値・体重・血圧・血清脂質などの検査項目で、それぞれ目標値が定められています。

糖尿病の進行を予防、または適切な治療を続けていくために、これらの目標値を参考にしてください。

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