トピックスtopics

糖尿病の栄養指導|食事療法のポイント

バランスの良い食事

食事療法は、すべての糖尿病の患者の方が行う治療法です。すでに糖尿病の治療を始めている方も、糖尿病の疑いを指摘された方も、食事療法に取り組んでください。

糖尿病の治療や予防に食事療法が欠かせない理由を解説します。さらに食事療法のポイントや注意点もみていきましょう。

糖尿病の食事療法の必要性

食事療法は、すべての糖尿病治療や糖尿病予防の基礎になっています。つまり患者や患者予備軍の方は「食事療法+その他の治療+その他の対策」で糖尿病と闘うわけです。

なぜ食事と糖尿病がつながるのかというと、両方とも「糖」と「摂取エネルギー量」に深くかかわっているからです。糖尿病は糖分を過剰に摂取したり、過剰にエネルギー(食事)を摂取したりすると発症したり悪化したりします。

一方、味がしっかりしたおいしい食事は、糖分やエネルギー量が多い傾向にあります。

したがって糖尿病の治療・予防では、食事療法によって糖分と摂取エネルギー量をコントロールする必要があるのです。

糖尿病には、生まれつきインスリンが分泌されない1型糖尿病と、生活習慣の悪化などから起きる2型糖尿病があります。1型の方も2型の方も、糖分と摂取エネルギー量をコントロールする必要があります。

糖尿病の食事療法のポイント

糖尿病治療としての食事療法では「バランス」がキーワードになります。

1日の摂取エネルギー量の目安

摂取エネルギー量は、食事の量で決まると考えられがちですが、それだけではありません。エネルギー量は食材によって異なるので、同じ量の食事でも、エネルギー量が多いメニューと少ないメニューがあるのです。また、必要な摂取エネルギー量は人によって異なります。

糖尿病の食事療法では、患者の方の1日の摂取エネルギー量を決めるのですが、その量は1人ひとり異なります。

また同じエネルギー量でも、食材が変わってくると食事の量(食材の重量)が変わってきます。エネルギー量が小さい食材なら多く食べることができますが、エネルギー量が大きい食材は少ししか食べることができません。

1日に必要なエネルギー量は次の計算式で算出することができます。

・その人が1日に必要とするエネルギー量(kcal)=身体活動量×標準体重

身体活動量は、患者の方の業務内容によって異なります。

・デスクワークが多い人の身体活動量(体重1kg当たり)=25~30kcal×標準体重
・立ち仕事が多い人の身体活動量(体重1kg当たり)=30~35kcal×標準体重
・力仕事が多い人の身体活動量(体重1kg当たり)=35以上kcal×標準体重

そして標準体重の計算式は次のとおりです。

・標準体重=身長(m)×身長(m)×22

例えば、立ち仕事が多い身長160cmの人が1日に必要とするエネルギー量は1,689.6~1,971.2kcal/日となります。計算式は以下のとおりです。

・標準体重=1.6m×1.6m×22=56.32㎏
・1日に必要とするエネルギー量=立ち仕事30~35kcal/kg×56.32㎏=1,689.6~1,971.2kcal

栄養バランスの良い食事をする

摂取エネルギー量を考えた食事をすることは、「量」をコントロールすることでした。

そして、栄養バランスの良い食事をすることは、食事の「質」を考えることです。良い食事とは3つのバランスが取れているメニューです。

1つ目は、炭水化物、タンパク質、脂質をバランスよく摂ることです。必要な摂取エネルギー量を100とすると、炭水化物は50~60にして、タンパク質20、脂質25以下とするのが理想です。

2つ目のバランスは、主食、主菜、副菜をそろえることです。忘れられがちなのが副菜です。例えばトンカツを食べるときは、ご飯(主食)とトンカツ(主菜)で終わらせるのではなく、サラダ(副菜)を添えるだけでバランスが取れるようになります。

3つ目のバランスは、食材の種類です。理想は1日30種類の食材を食べることです。ただ朝、昼、夕の3食で30種類あれば大丈夫です。
朝食なら、①ご飯、みそ汁(②ミソ、③ワカメ、④ネギ)、⑤シャケ、⑥お新香、⑦牛乳、スムージー(⑧豆乳、⑨小松菜、⑩バナナ)で10種類になります。

栄養素の配分目安

炭水化物、タンパク質、脂質は3大栄養素と呼ばれるほど重要視されていて、いずれも生命維持に欠かせないものです。

ご飯やパンやめん類などの炭水化物は、脳や筋肉を動かすエネルギーになります。

肉や魚や大豆などのタンパク質は、筋肉や骨、皮膚などをつくります。

植物油や動物性油脂などの脂質は、エネルギーになったり、細胞膜の構成要素になったり、ビタミンの吸収を促したりと、さまざまな働きをします。

ビタミンとミネラルもバランスよく摂るようにしてください。ビタミンA、B群、C、D、E、Kは、体の働きを調整します。

カルシウム、マグネシウム、リン、ナトリウム、カリウムなどのミネラルは、体の動きを滑らかにします。

ビタミンやミネラルのほとんどは体内でつくることはできません。食事で摂るしかないので、「バランスの良い食事が大切」なのです。

1日3食のバランスの良い食事をする

食事のバランスでは、1日3食摂ることも重要です。例えば、炭水化物は脳や筋肉を動かすエネルギーになるのですが、朝食を抜くと、前夜の夕食からその日の昼食までエネルギーを補給しないことになります。それでは脳や筋肉の動きに影響を与えかねません。

また、1食抜くと、次の食事をするときに空腹が強まります。そうなると食欲が強くなりすぎて、2食分より多く摂ってしまいかねません。カロリーの過剰摂取となり、肥満につながってしまいます。

食品交換表を活用する

バランスの取れた食事をするには、食品交換表を利用することをおすすめします。これを使えば、例えば「1,700kcalを摂るにはどの食材を何g使えばよいか」がすぐにわかります。

食品交換表とは、さまざまな食品を栄養素ごとに4つの「群」と6つの「表」にわけています。調味料は群にも表にも入らず独立しています。これを食品分類といいます。

糖尿病の方の1日の食事量は、食事の重さではなく栄養のエネルギー量で決まります。

糖尿病食事療法のための食品交換表では80kcalを1単位と定義づけていて、どの食品を何単位、摂れば良いのかの指標になっています。

また、同じ「表」のグループのなかの食品は、同じ単位分であれば交換しても良いので好みで食材を変更でき、献立のレパートリーの心配もありません。

異なる「表」のグループの食品とは交換はできません。

食品分類表

「朝、昼、夕の食事は表1、3、6の食品を均等に配分する」「表2、4、5の食品と調味料は、その日のメニューに合わせて使う」というふうに使って献立をつくっていきます。
ちなみに表2と4は間食で食べても構いません。

指示されたエネルギーに合わせて、各栄養素を補うためには、どの食材が何単位必要なのかを確認できるので、食材が変化しても適切な食事量を維持できます。

様々な野菜

食事療法の注意点

食事療法では「食べ方」にも注意してください。次の3カ条を守ってください。

・1日3食を規則正しく食べる(間食は控える)
・よく噛んで食べる(時間をかけて食べる)
・決められたエネルギー量を守る

1日2食や1食にしてしまうと1食当たり食事量が増え、糖分が多くなってしまい血糖値が上昇します。すると血糖値を下げようと、すい臓が大量のインスリンを出そうとします。それが、すい臓の疲弊につながってしまうのです。

さらに1食の摂取エネルギー量が多くなると、次の食事までに消化吸収しきれないエネルギーが生まれ、それが蓄えられて肥満につながってしまいます。

またよく噛むことで「しっかり食べた」ことが意識でき、満腹感に近付くことができます。あまり噛まずに食べるといくら食べても「しっかり食べた」意識が持てないので、大量に食べてしまうのです。よく噛んで食べるためには、食事の時間を長く取りましょう。

そして医師や管理栄養士と相談して決めた摂取エネルギー量を守るようにしてください。どうしても決められた食事量を守れず、多く食べたい衝動に駆られたら、交換表を活用してみてください。

同じ240kcalでもご飯なら150gですが、茹でたうどんなら240g食べることができます。茹でたうどんは多くの水分が含まれているからです。

食材を替え食事量が増えれば、満腹感を得ることができ決められた摂取エネルギーを守りやすくなります。

まとめ

冒頭で、食事療法はすべての糖尿病治療、糖尿病予防法の基礎になる、と紹介しました。つまり、すべての糖尿病患者さんとすべての糖尿病予備軍の方とすべての糖尿病が心配な方は、食事療法に取り組んだほうがよいのです。

食事療法という「ベースになる治療」がしっかりしていれば、薬などの他の治療や対策が活きてくるのです。

食事療法の必要性を十分理解したうえで、ここで紹介したポイントや注意点を守って糖尿病と向き合っていきましょう。

糖尿病は再生医療で
完治する可能性があります。

再生医療であれば、糖尿病の原因であるすい臓機能を治癒させることができる可能性があります。さかもとクリニックは国内でも再生医療を利用して糖尿病治療ができる数少ないクリニックです。糖尿病で悩まれている方は一度ご相談ください。