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膝をつくと痛い!そんな場合に考えられる8つの病名

膝をつくと痛い場合に考えられる8つの病名

膝は常に体重を支えている関節なので、年齢と共に軟骨がすり減りやすく、亜急性(急激ではないが徐々に進行する状況)の不調を起こしやすい部位とも言えます。

打撲や捻挫などによって膝を負傷することも当然ありますが、多くの方は明確な原因がわからず徐々に痛みが増すような症状の出方をしています。

若い年齢でもオスグッド病など、スポーツ活動を盛んに行っているなどといった日常生活の特徴があれば、歩行だけでも痛みが出るような症状になることがあります。

今回は、膝をつくと痛いという状況のときに、どんな病態が考えられるのかご紹介していきます。

膝をつくと痛い場合

膝をつくと痛い場合に考えられる8つの病名とは

膝をつくと痛いという場合に、どんな病態が考えられるのかご紹介していきます。膝を地面に着くということは、膝関節や股関節も屈曲しているということであり、様々な原因の可能性があります。

1.変形性膝関節症

50代以降の年齢になってくると急に症状が出始めるのが、変形性膝関節症です。本人の中では転倒したり、捻ったり、変な動作をしたという自覚は無く症状が出始めます。

膝をついたり曲げたりすると痛みがあり、場合によっては通常の歩行ですら強い痛みを感じるようになることもあります。膝関節の酷使や、過度な荷重の繰り返しなど、長年のダメージを蓄積することによって少しずつ変形していくものです。

最初は膝関節内にある半月板を擦り減らせて、徐々に骨自体の変形に移行していくこともあります。特に多いのが内側半月の損傷で、股関節の硬さや姿勢の悪さによって骨盤が後傾し、下肢全体がO脚傾向になることで内側半月の負担が増えます。

膝をつくと痛い、歩くと痛いという症状が出るころには、レントゲンなどで精査するとほとんど半月板が残っていないこともしばしばです。膝の内側が潰れるような変形が進み、さらにO脚傾向が強くなり、結果的に膝内側の負担をどんどん増すという悪循環になってしまいます。

2.タナ障害

関節包内にある棚のようなヒダが関節の間で挟み込まれてしまい、徐々に炎症を起こしていく症状をタナ障害と言います。タナ障害の原因である関節包内のヒダは、一回の外力で急に出来たり、体の動かし方によって出現したりするわけではなく、多くは先天的に大きい形状になっています。

そこから炎症を起こすに至る契機として、膝関節の軟部組織損傷などの外傷が関係するのです。膝の靭帯損傷や筋肉疲労などによって膝関節の動きにズレが出ると、関節包内にある滑膜ヒダが強く挟み込まれるようになります。

膝関節の屈曲や伸展の際にヒダが繰り返し挟まれることで、痛みを感じるのです。膝をつくと痛いこともあれば、歩行の際に痛みが出ることもあります。他動的に膝関節を屈曲させたときに、ポキッというようなクリック音が生じる場合、タナ障害のリスクが高いと考えることも出来ます。

症状が出たら、痛みのある動作を避けて安静にすることで炎症の鎮静化を待ち、膝関節の使い方を正すような運動療法をするのが有効です。

3.半月板損傷

膝関節は内側半月と外側半月が存在していて、損傷の頻度が高いのは内側の半月板です。スポーツ活動の際中、特にコンタクト系のスポーツを行っているときに膝関節に過度な捻転力や内反力がかかると、内側半月を損傷します。

このような外傷によって半月板を損傷するケースでは、多くの場合内側側副靭帯や前十字靭帯など、内側半月以外の軟部組織損傷も併発しています。また、変形性膝関節症のように亜急性の半月板損傷もあります。

一度で靭帯損傷や筋断裂を起こすほどではない軽微な外力によって、少しずつ半月板を摩耗していきます。半月板が損傷して穴が開くなどの変形をきたせば、膝をつくような動作のときに痛みと可動域制限が発生することもあります。

一度損傷してしまった半月板は、放っておいて再生するということはありません。しかし、それでも痛みが出ないような動作を獲得することは可能で、大腿部などの筋力強化や運動学習によって日常生活で問題ないレベルに回復していくことは出来ます。

4.靭帯損傷

膝に存在している主要な靭帯は、膝関節の内側を大腿骨から脛骨にかけて走行する内側側副靭帯、膝関節の外側を縦に走行する外側側副靭帯があります。さらに関節内に、前十字靭帯と後十字靭帯があり、それぞれ膝関節が前後にズレないように安定性の強化を担っています。

いずれも強固な靭帯であり、損傷する場合は他人との接触など大きな外力がかかっているはずです。特に前十字靭帯は血流量も多い靭帯であり、損傷すると膝関節に強い腫脹も見られます。

また、それぞれの靭帯が単独で損傷しているということも少なく、前十字靭帯が損傷するほどの外力では、内側側副靭帯も一緒に損傷していることが多いです。靭帯損傷を起こせば、損傷した靭帯部に圧痛や腫脹が見られ、膝をつくなどの動作では当然痛みが出ます。

歩行が困難になる場合もあり、関節内に存在する前十字靭帯と後十字靭帯では再生力に乏しいので、手術が選択されることも多いです。スポーツ活動をしている方にとっては、場合によっては選手生命に関わる損傷でもあるので、慎重な判断が必要です。

5.分裂膝蓋骨

その名の通り、膝蓋骨が分裂している病態です。膝蓋骨が分裂してしまう原因は不明で、骨折などとは違い限局性の圧痛や、介達痛を起こすことは稀です。分裂膝蓋骨が出現すること自体では、日常生活で著しい支障が出ることはほとんどなく、問題なく過ごせます。

しかし、ジャンプ系またはダッシュ系の競技など瞬間的な大腿部の筋力発揮が必要なスポーツでは、分裂膝蓋骨に負荷がかかり炎症の痛みを発生させることもあります。

膝をつくなど圧迫力がかかることでも痛みが出るので、痛みのある動作を控えて炎症の鎮静化を待つことが大切です。分裂の仕方は様々で、縦に割れているものや、横に割れているもの、外上方だけ分裂しているものなど様々です。

日常生活に著しい支障が出ていなければ、保存療法で十分対応が出来ます。特に大腿四頭筋の緊張が分裂膝蓋骨の痛みに繋がるので、ストレッチや股関節の可動域強化などで、痛みの出ない膝の動かし方を獲得していきます。

手術の場合は、分裂した小さい骨片を取り除く方法や、骨癒合を試みる方法などが選択されるでしょう。

6.鵞足炎

鵞足炎は「鵞足(がそく)」と呼ばれるひざの内側下方の脛骨の周囲に炎症が生じる病気です。「鵞足」とは、脛骨というスネの骨の内側(膝から5-7㎝ほど下)に位置し、縫工筋、半腱様筋、薄筋と呼ばれる筋肉の腱が骨にくっつく部位(付着部)です。

この部位にある滑液包に炎症が生じる状態が鵞足炎です。滑液包とは、膝をはじめとした関節に存在する小さなゼリー状の袋です。 少量の液体が含まれており、骨と軟部組織の間に存在し、摩擦を軽減するクッションとして機能します。

鵞足炎は膝の屈曲や股関節の内転動作によって滑液包に負担が繰り返しかかり慢性的な痛みが生じます。アスリートをはじめとしたスポーツ選手に生じやすく、また、スポーツをしていなくても打撲などをきっかけに発症することもあります。

鵞足炎の治療としては、理学療法や注射などの保存療法が一般的です。膝をつくとき以外にも、運動時や階段を下がる時や歩く時などにも痛みがでます、重症化してしまうと、何もしていなくても疼くように痛くなるようになります。

7.腸脛靭帯炎

腸脛靭帯炎とは、ランニングによる膝障害のことです。膝の屈伸運動を繰り返し行うことで腸脛靭帯が大腿骨外顆(がいか)と擦れ、炎症が起こって痛みが発生します。

マラソンなどの長距離ランナーをはじめ、バスケットボール、水泳、自転車、エアロビクス、バレエなど多岐に渡るスポーツで発症します。過剰なランニング時間やウォームアップ不足、休養不足、硬い路面や下り坂による負担など、さまざまな要因が発症に結びついています。

腸脛靭帯炎とは、膝が痛むというのが基本的な症状です。痛む箇所は大腿骨外顆周辺、膝の外側で、腸脛靭帯の走行に沿って痛みが出るケースもあります。初期はランニング後に痛みが発生するのですが、休むと痛みが消失します。

しかし、ランニングを続けていると次第に痛みは増してきて、休んでも簡単に痛みが消失しなくなります。膝の屈伸運動を繰り返し行うことで発症する腸脛靭帯炎なので、最大の治療方法はランニングや膝に負担が掛かる練習を休止、或いは練習を減らすことが症状緩和につながります。

そして、アイシングや湿布の使用、ストレッチを強化します。また、スポーツ整形外科を受診し、消炎鎮痛剤の内服や局所注射などの治療を行います。膝の外側の痛みは腸脛靭帯炎だけではありません。

中学生や高校生の場合、疲労骨折が考えられるケースもありますし、中高年なら外側半月板損傷が疑われるケースもあります。膝の外側の痛みが改善しないようであれば、スポーツを専門とする病院を受診するようにしましょう。

8.ジャンパー膝(膝蓋腱炎/大腿四頭筋腱付着部炎)

運動や屈伸運動を頻繁に行うことによって生じます。バレー、ランニングといった動きを代表に、膝蓋腱の収縮を何度も繰り返し行うことによって損傷が蓄積されて起きます。スポーツ選手に多い疾患です。

スポーツ選手でなくても体が固い方などで起きやすく、年齢に関わらず体力をつけるために急に走ったり歩いたりすることでも生じますが、基本的には充分に休息し、膝蓋腱を安静にすることで一過性で済むことがほとんどです。

これに対し、スポーツ選手は損傷した膝蓋腱が修復する余裕がないほど頻繁に運動してしまい、慢性化して治療が必要になることがあります。

膝は不調が起きやすい部位

膝は荷重関節でもあるので、ぶつけた、捻ったなどの明確な受傷機転が無くても痛みを感じるようになることもあります。タナ障害など、生まれつきもっている関節包内のヒダが原因で起こるような症状もありますし、日常生活に大きく影響してきます。

亜急性の膝で起こる不調の原因を突き詰めていくと、姿勢の悪さや体の使い方、日常生活動作や仕事での負担など、長期的に見たダメージの蓄積が根本にあります。

そのため、徐々に痛みを増したり、少しずつ変形が目立つようになったり、年齢と共に膝の痛みが起こるリスクは高くなっていくのです。逆に10代の若年層では、オスグッドなどスポーツ活動に起因する症状も出ます。

特にサッカーやバスケットボール、バレーボールなど、瞬発系の競技を頻繁に行っている少年に多いです。このように、膝関節は年齢関係なく不調を起こすことがあります。

膝関節を構成している骨について

膝の関節は主に3つの骨で構成されています。一つは大腿骨で、大腿骨の膝関節面は内側と外側に分かれており、内反や外反といった異常な動きをしないように靭帯などで頑丈な安定性を保っています。

もう一つは脛骨という「スネ」の骨で、脛骨の近位端部が膝関節面になっています。脛骨の上部に大腿骨の内側顆と外側顆がはまり込むような構造です。そしてもう一つが膝蓋骨で、大腿骨の近位部前面に位置し、膝関節の屈曲や伸展の際には滑るように移動しています。

膝関節は特徴的な動きをする

膝関節の基本的な動きは屈曲と伸展で、どちらも大きな筋肉によって動作するので強い筋力を発揮できます。膝関節屈曲の主動作筋肉は、大腿二頭筋と半腱様筋、半膜様筋で構成されているハムストリングスです。

逆に膝関節伸展の主動作筋は、大腿直筋、外側広筋、内側広筋、中間広筋で構成されている大腿四頭筋です。どちらも骨盤から大腿骨を走行し、下腿の近位端まで到達しています。

そのため、厳密には膝関節だけでなく股関節の動きにも作用しているという特徴があります。そして、もう一つ特徴的なのが膝関節屈曲の際に起こる下腿の内旋で、膝窩筋など小さな筋肉によって微妙な動きを調整しています。

膝関節屈曲で下腿が内旋、伸展すると共に下腿は外旋し、単純な前後面の運動だけではないのです。この特徴的な動きを、スクリューフォームムーブメントと呼びます。

膝をつくと痛いときに行うべき対処法

膝をつくと痛いとき、どんな対処法をすればいいのかご紹介していきます。

安静にして痛みのある動きを避ける

膝をつくと痛い場合、外傷によるものなのか、それとも関節内で起こっている炎症のせいなのか判断が付かないケースも多いはずです。まずは膝関節の荷重など、痛みのある動作をなるべくさけて安静を確保します。

安静にすることで痛みが落ち着いたり、その後の動作がスムーズになったりすることもあります。

ストレッチをして筋肉の緊張を取る

大腿部や股関節の筋肉、さらには下腿部の筋肉に緊張が出ていることで、膝に痛みが発生しているケースも考えられます。特に臀部や大腿部外側の筋緊張は、変形性膝関節症を悪化させる要因にもなるのです。

また、下腿部の筋肉が緊張すると足関節の動きが悪くなり、その分の代償を膝関節が担うことになります。その結果膝関節での不調を引き起こしやすくなり、痛みが発生した後も治りが遅くなってしまうのです。ただ、痛みのある動きで無理にストレッチをする必要はなく、心地よくできる範囲で問題ありません。

整形外科を受診する

膝をつくと痛いという症状が突然出現してきた場合、変形性膝関節症やタナ障害など、場合によっては手術が必要になる病態も隠れています。初期段階であれば保存療法で十分対応することが出来ますが、放置しておくと症状が進行して日常生活での支障も大きくなってきます。

まずは膝関節の中で何が起きているのか、病気ではないのか確認するという意味でも、整形外科でドクターに診察してもらうのが良いでしょう。

接骨院を受診する

膝をぶつけたわけでもないのに痛みが発生しているということは、日常生活の中で何かを改善しなければ、悪化する一方であるということです。整形外科で精査をして、今すぐに外科的な処置が必要ということでなければ、接骨院で運動療法や手技療法を入念にしてもらうというのも良い方法になります。

日常生活動作など、アドバイスをもらって改善や維持に努めましょう。

ご注意!膝の痛みを放置しておくと歩けなくなる

膝をつくと痛いという症状が、今後起こる重篤な症状の前兆であることも珍しくありません。今日痛みが出て、明日には歩けなくなっているということは稀ですが、放置しておけば悪化するのみです。

早めに対処するに越したことはないので、セルフケアでも改善が見られなければすぐに医療機関を受診しましょう。

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監修:リペアセルクリニック 大阪院

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