子供の糖尿病の原因と症状|チェック法や予防策も解説 

2021.08.18

カテゴリー: 糖尿病

糖尿病は中年以降で発症するというイメージが強いですが、最近は食生活や環境の変化によって子供でも糖尿病を発症するケースがあります。自分の子供が糖尿病じゃないかと思ったら、病院に行く前にチェックしておきたいですよね。

この記事では、子供が糖尿病になーる原因や症状について解説し、自宅でできるチェック方法と糖尿病を発症しないための予防法についても紹介します。

子供の糖尿病には1型と2型があり症状も違う

糖尿病はすい臓から分泌されるインスリンの作用不足によって高血糖状態が続く病気です。

糖尿病は発症原因によっていくつか種類があります。特に子供が発症する可能性がある糖尿病は1型糖尿病と2型糖尿病の2つになります。

子供の1型糖尿病の症状

1型糖尿病の発症原因は詳しくは解明されていませんが、何らかの原因によってすい臓にあるランゲルハンス島のβ細胞が破壊され、インスリンを作ることができなくなることで発症するといわれています。

1型糖尿病も後述する2型糖尿病も高血糖による症状が見られますが、1型糖尿病の場合は「突然」「急激に」症状が出ることが特徴です。

1型糖尿病はほとんどインスリンを分泌することができないため、治療をしなければ血糖値が上がり続け、糖尿病ケトアシドーシスなどの急性合併症を発症することがあります。

子供の2型糖尿病の症状

2型糖尿病はインスリンの分泌量が減ったり、分泌されたインスリンが効きにくくなることで発症するといわれています。

2型糖尿病は血糖値がゆっくりと上がるため、なかなか症状が現れないことが特徴です。一般的には学校で行われる尿検査によって発見されることが多いようです。

糖尿病になる原因

子供の糖尿病の原因と症状|チェック法や予防策も解説 

1型糖尿病と2型糖尿病ではそれぞれ発症原因が異なります。以下で詳しく見ていきます。

子供が1型糖尿病になる原因

1型糖尿病でなぜすい臓のβ細胞が破壊されるのかはわかっていませんが、自己免疫と呼ばれる免疫反応の異常によって自分の細胞を攻撃してしまうことが原因ではないかと考えられています。そのため、食事や運動などの生活習慣は1型糖尿病の発症には関係しないといわれています。

子供が2型糖尿病になる原因

子供が2型糖尿病になる原因には大きく次の3つがあります。

・遺伝的な体質
・生活習慣(食生活や運動など)
・ストレス

最近はお菓子やジュース、ファーストフードなどを気軽に食べることができるうえ、スマホやゲーム機の普及などによって子供が外で体を動かす機会も減っています。

以前は2型糖尿病といえば大人がなるものと思われていました。しかし、子供を取り巻く生活習慣が変わってきたことで子供にも肥満や2型糖尿病患者が増えているのではないかといわれています。

こちらも併せてご参照ください
ストレス性糖尿病は治る|血糖値変動の原因は?|内科専門医師が配信

子供が糖尿病かチェックリスト

子供が糖尿病かもしれないと思ったら、以下のチェックリストを使ってチェックしましょう。

・喉が渇きやすく水分をたくさん飲みますか?
・前より尿が多くなりましたか?
・できものがなかなか治りませんか?
・食は細くないのに痩せていませんか?
・お腹が空きやすいですか?
・家族や親族に糖尿病を患っている方はいませんか?
・太っているor太り気味ですか?

糖尿病の治療方法

子供の糖尿病の原因と症状|チェック法や予防策も解説 

糖尿病の治療法は1型糖尿病と2型糖尿病で違います。それぞれの治療法について以下で詳しく説明します。

子供1型糖尿病の治療方法

1型糖尿病は体内でインスリンを作りだすことができません。したがって、体の外からインスリンを補うことが必要になります。1型糖尿病のインスリン補充方法は大きく次の2つになります。

・インスリン注射
・持続皮下インスリン注入療法

インスリン注射

インスリン注射は自分かご家族の方がお腹や太もも、腕などに注射をする方法です。インスリン注射は扱い方も簡単ですので、小学校低学年くらいになれば子供が自分で注射できるようになります。

インスリンとは
糖尿病でよく聞くインスリンとは?治療方法について解説|内科専門医師が配信

持続皮下インスリン注入療法

持続皮下インスリン注入療法は、体の外にインスリンポンプを取り付け、皮下に留置したチューブや針(カニューレ)を通じてインスリンを注入する方法です。一般的には、インスリン注射でも血糖コントロールがうまくいかず、子供の1型糖尿病患者や妊婦など厳格な血糖管理が必要な場合に行われます。

なお、インスリンは毎日元気に生活するために必要なものです。絶対に中止してはいけません。万が一、インスリンの補充を中止した場合は短時間で命に関わる重篤な状態を招くことがあります。

子供2型糖尿病の治療方法

2型糖尿病は体質などの遺伝的要因と生活習慣が組み合わさることで発症するといわれています。そのため、最初に生活習慣の見直しを行ったうえで食事療法と運動療法に取り組むことになります。

食事療法と運動療法を行っても改善が見られない場合は内服薬や注射薬などの薬物療法を取り入れることになります。

子供を2型糖尿病にさせない予防策

子供の糖尿病の原因と症状|チェック法や予防策も解説 

1型糖尿病は発症原因が解明されていないため、予防法として確立されたものはありません。

しかし2型糖尿病は遺伝的要因と生活習慣の組み合わせで発症することがわかっています。体質などの遺伝的要因は防ぎようがありませんが、食事や運動などの生活習慣については予防することができます。

以下で子供を2型糖尿病にさせないための正しい食生活と運動について説明します。

正しい食生活

2型糖尿病を予防するには乱れた食生活を改善することが基本です。糖尿病予防のための食生活のポイントには次の7つがあります。

・1日3食規則正しく食べる
・栄養バランスを考えて食べる
・野菜をたくさん摂る
・脂質は控えめに
・ゆっくりよく噛んで食べる
・お菓子や清涼飲料水は控えめに
・ながら食いをしない

糖尿病の予防では栄養バランスの良い食事を3食規則正しく食べるというのが基本です。食事を摂るときは野菜を先に食べるようにすると血糖値の上昇を抑える効果があります。

テレビなどを観ながらの食事(ながら食い)は、脳の満腹中枢への刺激が散漫になるため、満足感が得られにくく、食べすぎにつながってしまいます。食事をするときはテレビを消し、家族との会話を楽しみながらゆっくり時間をかけて食事をしましょう。

定期的な運動

2型糖尿病を予防するには定期的な運動も大切です。定期的に運動をすると肥満の解消につながりますし、筋肉がつくことで基礎代謝が上がり、太りにくい体を作ることができます。

スポーツクラブや運動部に入って運動するのも良いですし、通学や犬の散歩など普段の生活を運動として取り入れることも良いでしょう。

まとめ

子供が糖尿病になる原因や糖尿病の予防法について解説しました。

最近は昔と比べて子供が外で体を動かす時間も減り、食生活も変わってきています。また、子供の頃に身についた生活習慣は大人になっても続く傾向があります。したがって、まだ糖尿病を発症していない場合であっても、乱れた生活習慣を続けてしまうと大人になって糖尿病を発症してしまうこともあります。

1型糖尿病と違い、2型糖尿病は予防法が確立されていますので、早い段階で生活習慣の改善に努め、糖尿病を予防することが大切です。

 

糖尿病について詳しく知りたい方は、こちらもご覧ください。

糖尿病ってどんな病気?

 

監修:院長 坂本貞範

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